内容説明
米問屋の手代甲太郎は、金子の掛け取りを終えた帰りに、二人の破落戸に追われている娘を助けた。しかし、助けた娘の姿はすぐに消え、懐の金までもなくなっていたのだ。共謀した三人に金を奪われたと考えた甲太郎は、行方を必死に捜すが…。一方、平次郎は桜の見物の為、「辰巳庵」へと向かっていた。店の前で、中の様子を窺っている不審な男に出くわす。男の姿を主の五郎作に話すと、娘の繍の顔つきが変わった。それは、別れて暮らす繍の義理の息子甲太郎ではないかとの事だった。彼の身に何か起こったのではと、平次郎は探索を始める事に―(「母恋い桜」より)。大好評シリーズ、第四弾。
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
昭和26年、東京都生まれ。國學院大学文学部卒業。平成2年、「夜の道行」で、第12回小説推理新人賞を受賞。以後、時代小説を次々と発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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suzu
10
シリーズを面白く読んでいる。主人公が前の奥さん亡くなってまだ1年やん。そら魅力的な女性でもちょっと早いんちゃう。どうなん。2018/01/30
ダイアナ
3
ハイペースでシリーズ第四弾。平次郎を慕い、同心の時から付き合いのある鶴七が付け火を疑われて捕まえられたり、同じ長屋の松造が命を狙われたりと平次郎の周囲は何かと忙しい。四作目ともなると長屋の面々が付かず離れず、実に良い距離感で動いているのがわかる。助けに走る時は皆、わっと行動するのが好もしい。そして、繍の過去があきらかになる表題作は桜が満開の頃の話で時期的にもぴったり。亡くなった妻、登美に心の中で言い訳しながらも繍に惹かれていく様は何とも初々しい笑2018/04/18
あかんべ
3
繍さんの秘密が明らかに。鶴七も今回は逆恨みで、ひどい目にあったし。蔦吉も姪っ子に向ける父性にほんわかとした。2012/04/17
M2
2
鶴七さん何となく40代だと思ってたけど32歳だったのですね。まだまだこれからですよね。相変わらず長屋のみんながいいチームワークで嬉しいです。新キャラお品さんの話は次巻でしょうか。表題作の甲太郎は繍さんとの関係から再登場しそうな気配。お梅も案外憎めないキャラだけどこの2人がまとまるのは無理っぽい感じですね。ところで、表紙の2人は繍さんと甲太郎?繍さんはイメージが違うなぁ。確か白いうりざね顔だったはす。そして甲太郎は”四角張った浅黒い顔つきで、中背。胸の厚い肩幅のある身体つき”ですよね。そうは見えない…。2012/02/24
ナツメッグ☆
2
表題作「母恋い桜」、桜が散る前までに事件が解決してよかったよかった(^^)。冒頭、繍の義理の息子甲太郎の登場の描き方、巧い。2012/02/15