内容説明
三田で剣客道場を構える峡竜蔵は、馴染みの店に立ち寄り、弟子やお才たちと名残の桜を楽しんでいた。その帰り道、以前竜蔵が窮地を救った女易者のお辰に偶然再会する。だが、久しぶりに会ったお辰は、竜蔵に意味ありげな言葉を投げかけ、その日以降、頻繁に姿を見せるようになる。そんなある日、お辰は自分が竜蔵の亡き父・虎蔵の娘であると告白するのだった。周囲が動揺するなか、お辰に危機が―(「第二話 いもうと」より)。竜蔵が巻き起こす風が人々を優しく包む、書き下ろし時代小説。第三弾。
著者等紹介
岡本さとる[オカモトサトル]
1961年大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社90周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に『浪華騒擾記』が入選。その後フリーとなり、『水戸黄門』『必殺仕事人』『剣客商売』などのテレビ時代劇の脚本を手掛け、現在も数多くの舞台作品にて脚本家・演出家として活躍する。2010年小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
68
侠気を秘めた直心影流の道場主・峽竜蔵の活躍の物語。上意討ち、いもうと、かまぼこの味、押して勝つ、の短編4話のうちお辰のほのかな情愛がつたわる「いもうと」が好きです。「いもうと」お辰は、竜蔵の父・峽虎蔵が鹿島神宮の守り札の中に「愛娘殿 神田相生町 峽虎蔵」と書いたものを持っています。虎蔵は、藤川道場の高弟で故・森原太兵衛の娘・綾にあげるつもりで貰って来たが、たまたま水茶屋のお辰の母に渡した。竜蔵は、お辰の兄でないが、竜蔵に憧れて。お辰は、御札を竜蔵に見せて兄さんと呼ぶ…。🌿続く→2022/07/21
とし
32
毎回スッキリした筋立てで面白く楽しく読める、毎回竜蔵の人柄に魅かれ仲間が増えていく次回はどんな人物が増えるのか楽しみ。2013/10/01
雅
29
情に溢れる心優しい作品。一人また一人と仲間が増えていきどんどん輪が広がっていく2019/04/01
ベルるるる
27
竜蔵の妹と名乗るお辰が登場。竜蔵の様子を見に訪ねて来た母と鉢合わせ。お辰の世話をするようにと言って帰って行く母。毅然とした背中に悲しみを感じてしまう。結局、妹ではなかったんだけど母親がなんだか可哀そうだった。清十郎のかまぼこの思い出に涙。2019/02/10
ドナルド@灯れ松明の火
16
タイトル作もいいが、「上意討ち」の結末には思わず胸を打たれた。「かまぼこの味」もまた竜蔵が活躍して、最後はしみじみとした。 お薦め2020/06/27