内容説明
私立探偵の畝原はある夜、なにかから逃げている様子の少女を目撃する。乗っていたタクシーで慌てて引き返すものの、少女の姿は忽然と消えていた。翌日、無残な遺体となって発見される少女。畝原は、自責の念から独り聞き込みを行うが、少女の両親の態度に不審を抱くのだった。さらに、かつて連続殺人を犯した少年が周辺に住んでいるという噂が…。果たして少女殺害事件との関わりはあるのか。そして第二の殺人事件が―。私立探偵・畝原シリーズ待望の文庫化。
著者等紹介
東直己[アズマナオミ]
1956年札幌生まれ。北海道大学文学部哲学科中退。土木作業員、ポスター貼り、タウン雑誌編集者などを経て、92年『探偵はバーにいる』で作家としてデビュー。2001年『残光』にて第54回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
70
レビューを書かずに既刊最終作まで突っ走ってしまった。家族と犯罪。いわゆるクズ親にだって、優しい眼差しを向ける畝原の視点。だからこそやるせない。ぐったりするほど後悔と無力感が押し寄せる話だった。なのに読んでる時は、止まらないんだよなあ。ミステリというかサスペンスというか、とにかくすごくよくまとまっていて、勢いが加速する後半は、息を飲んだり膝を打ったりと忙しい。これぞエンタメ。2022/04/29
ゆみ
34
探偵畝原シリーズ再読。 ほとんど、忘れていた。面白かった。 畝原が夜中にタクシーに乗っていて見かけた少女の死と タクシー運転手の死。誰が殺したのか、真犯人にせまる畝原の 地道な歩き方に好感を持つ。 「探偵はバーにいる」の「俺」もチラリと登場。2019/02/03
浅葱@
24
久々にハードボイル系のミステリー(?)を読んだ。意外な成り行きと犯人だったが、畝原が捜す動機がきっちりしていて納得。たどり着く迄に現代の裏側が広がり、やるせない気持ちになっていた。家族のあたたかさに救われた。初の東直巳作品。どこかで出会えたら読みたいな。2013/11/29
そのぼん
17
美少女が殺されたことから始まるミステリーでした。が、かなり軽快にストーリーが進みました。シリーズものだと知らずに読み始めたので、雰囲気に慣れるのにかなり時間がかかりました。探偵とかのキャラが濃かったです。2012/07/04
ぎん
11
相変わらず、やりきれない事件の話。だが、冒頭、畝原の家族の近況が描かれるまでは娘たちがどう成長したのか、親戚の叔父さん気分で楽しみながら読んでしまった。 今回は畝原の家族が危機に晒されなくてよかった。このシリーズは明美と結婚する前から家族に重きを置いている点で「ススキノ探偵シリーズ」とは心情的に違う読み方をしてしまうシリーズだと思う。2014/11/29