内容説明
江戸に梅が咲き始めた如月、一膳飯屋“塩梅屋”では、梅見弁当の準備がはじまった。先代長次郎が生前、書き遺していた「能代春慶、三段重提げ弁当、梅見鰤、ひとり膳」という言葉が気になる主の季蔵…。そんなある日、おき玖は父・長次郎を偲ぶ梅見へ出かけたが、大雨が降りはじめ、梅の木に雷が落ちたという知らせが塩梅屋に入った。おき玖を案じた季蔵が急いで迎えに行くと、屋敷内で“夜光の珠”が盗まれたと大騒ぎになっていた―。「梅見鰤」「饅頭卵」「吹立菜」「ひとり膳」の全四篇を収録。料理に支えられ生きてきた者たちの、人を想う切なさとあたたかさに溢れた大人気シリーズ第十一弾。
著者等紹介
和田はつ子[ワダハツコ]
東京都生まれ。日本女子大学大学院卒。出版社勤務の後、執筆業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mark
26
料理の背景にある真実。今回のお話では長次郎の遺していた「ひとり膳」にまつわる事が季蔵によって解き明かされる。人の思いが時を超えて結びつく、切なく、ちょっと心が熱くなるお話でした。2015/03/06
ichi
25
【図書館本】シリーズ第11弾目。久々にこのシリーズを読みましたが、一冊ごとに話が完結しているので、読みやすいです。瑠璃の意識がハッキリする日が来るのを毎回期待していますがまだでした。2015/10/16
万葉語り
25
能代春慶、三段重下げ弁当、梅見鰤、ひとり膳 先代が書き残した言葉の意味が最後でわかる。以前刑事ドラマを見たとき犯罪の理由は、色恋かお金だというセリフがあったのを思いだした。普通の人にとっても 恋は罪悪ですよ。まして、自分本位の悪党の恋は厄介だと思った。今回は季蔵が探偵で終わった。2015/01/10
かずよ
23
主人公達の切ない三角関係が気になって読むのをやめられないシリーズ。もう第11弾にもなるんですね!2012/08/02
えみりん☆
18
梅の香りが漂ってきそうです。鰤料理、刺身はもとより鰤大根や焼き鰤は冬から早春にかけては食べたい料理。能代春慶のお重が気になります。人が次々に殺されて行くのはこのシリーズの特徴ではあるけど、やはり切ない。饅頭卵ってどうなのでしょう?料理に重きがあるように思うのは気のせい?2014/11/14