内容説明
貧乏人にも親切だと評判で、診察にもかなりの信用があった医者・良庵が殺された。人気狂言作者並木五瓶の弟子・拍子郎と料理茶屋の娘・おあさは、半月前に占断所で偶然、良庵の女房を見かけていた。早速、拍子郎は事件に首をつっこむことに…(「三世相」より)。表題作他全五篇を収録。江戸の芝居町を舞台に、男と女の情の濃やかさと、人生の奥ゆきを余すことなく描いた傑作捕物帳シリーズ、待望の第三弾。
著者等紹介
松井今朝子[マツイケサコ]
1953年、京都市生まれ。早稲田大学大学院演劇学修士課程修了後、松竹に入社。歌舞伎座の企画・製作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』で作家デビュー、『仲蔵狂乱』で第8回時代小説大賞受賞。07年『吉原手引草』で第137回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
28
いつもの人情とミステリー、江戸時代の風俗や食べ物が描かれて安定の面白さです。また、今作では拍子郎の将来や出生について掘り下げられていて、シリーズを追い掛けている人はきっと楽しめます。次回が気になる。2017/08/11
onasu
19
とりあえずは、師匠夫妻が元の鞘に戻っていてよかったが、そちらが納まれば、弟子の拍子郎の方に前々からの懸案を浮上させ、その揺れを芝居茶屋の娘おあさにも及ばさせるとは、心憎い筋立ての第三弾。 芝居町を舞台にした五編は何れも佳作だが、その狭い世界を著した「雨の鼓」、拍子郎の出自に改めて疑問を生じさせた表題作「三世相」、そして目先を変えた旅もの「旅芝居」、他。 若手役者の地方回りの下調べと人探しを兼ねて、下総佐倉、銚子への旅路は、とんとん拍子に軽い身のこなしと調子良すぎだが、昔日の様子も含めて楽しめました。2018/04/09
ニコル
8
拍さん、どんどんコミュニケーション能力をつけて、人の深いところに入っていけるようになったなぁ。でも、おあさにだけは不器用な所もある。巻を重ねるに従って拍さんも逞しくなりつつあるけれど、兄が父親かもしれない、という闇が深い。それが次の巻で薄まるのか。2016/09/12
タツ フカガワ
7
「短い春」の、拍子郞と御殿女中との淡い縁がほろ苦い。放蕩の末勘当された大店の息子の思いと拍子郞のおあさ坊への想いが重なる「旅芝居」には涙腺が緩みました。そしてシリーズ全編にそよと吹く江戸の風が心地良いなあ、と思いつつ4作目に。2017/09/02
ウォーカージョン
4
雰囲気もいいし、ストーリーもいい。拍子郎はどちらを選ぶのか、次で完結なのか。2015/08/19