内容説明
才走った性格と高すぎるプライドが災いして人足寄場に送られてしまう栄二。鈍いところはあるがどこまでもまっすぐなさぶ、ふたりの友情を軸に、人の抱えもつ強さと弱さ、見返りを求めない人と人との結びつきを描き、人間の究極のすがたを求め続けた作家・山本周五郎の集大成。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903年、山梨県生まれ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926年『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇デビュー作となった。『日本婦道記』が1943年上期の直木賞に推されたが、受賞を辞退。1967年2月14日没。享年63歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
62
新潮文庫にて読了。究極の友情と愛情を見た。2017/10/27
井月 奎(いづき けい)
35
雨の中、泣きじゃくりお店から逃げ出したさぶを英二が追いかけて、落ち着かせる。その二人に傘をさしかけるおのぶ。物語の最初に現れる主人公の三人はこの時点で見事に性格描写がなされていて、山本周五郎に力量が並みでないことが分かります。そしてこの物語の風味が絶佳なことは類をみません。人の世の理不尽さと恐ろしさを書きつつも、生きていくことへの希望を抱かせて、命への賛歌を高らかに歌い上げます。物語を読み終えた後になぜ題名が『さぶ』なのかが驚きとともに分かります。人を書ききった稀有な物語がここにあります。2017/07/23
yuko
18
登場人物の心の変化が丁寧に描かれていてその世界に引付けられました。つっぱっていた栄二が世の中を知り成長し、人を許せるようになり、最後はそんなことまで許せるようになるとは…解説の「人間の究極のすがたを求め続けた作家」という言葉を、なるほどと思いました。さぶの明るい台詞で締めくくられて、ほっとした気分になりました。2016/04/08
Nak34
17
感動の名作かというとそうではない。ただ、人がどうあるべきか、考えさせられる。最後に、救いがあるので良かった。不幸のままだとやりきれない。さあ、今から、幸せを掴む番だよ。ちばりよ〜。2011/03/05
matsu04
8
非権力側の視点に立つ重厚で本格的な時代小説と言える。2012/02/03
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