内容説明
新選組創立以来、幕府のために身命を抛って貢献した功績に対し、隊士たちは念願の幕臣にとり立てられたが、以前と同じく、京の治安に血を流していた。しかしながら遂に将軍が大坂に退き、新選組も京を離れることに…。近藤勇、沖田総司、原田左之助らは、愛する女性や家族と別れ、新選組とともに、運命をともにする決意をするのだった―。「夢」を追い求めた男たちの凄絶なる人生を鎮魂をこめて描く「森村版・新選組」。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年、熊谷市生まれ。青山学院大学卒。69年、『高層の死角』で江戸川乱歩賞、73年、『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞、2003年、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。推理小説、歴史小説、ドキュメントと幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
12
新選組と幕末が丁寧に描かれています。龍馬暗殺など新選組と関わっているか謎の事件などにも触れつつ、分裂から滅びまでの新選組が滅びへと向かう物語ですが、ドラマ性は強くない印象です。幕府のために血の歴史を描いた新選組が幕臣に取り立てられたことで歯車がどんどん狂っていくのが見えました。伊東派との分裂、油小路の変は最後の新選組による粛清なのかもしれません。愛する人との別れ、最後まで新選組であろうとする隊士たち。それでも皆追々で別れていくんですね。土方の死後も描かれるので、ある意味完全な「新選組」物語なのでしょう。2014/03/11
ゆずこまめ
2
相馬の設定をああいうことにしたのなら、もっと彼の葛藤を描いておもしろくできたんじゃないかなあ。もったいない。でも戦い続けた新選組メンバーはみんなかっこよかったので満足。戦死した人も生き残った人も、みんなかっこよかった。2011/02/08
青
2
上昇気流に乗っていた上巻から一転、どんどん歯車が狂っていく下巻。相馬主計の設定をこう持ってくるか・・・と新鮮な印象を受けた。近藤や沖田の最期、組と袂を分った永倉や原田のその後、土方の戦死、斎藤や島田のその後など、分りやすく描かれていた。2010/02/05
宮城
1
幕末の時勢がよく分かる。 新選組内部の人間模様も丁寧に描かれている。 それにしても大政奉還からの時勢の変化の何と凄まじいことか。新選組剣士が時勢に乗り遅れている間に、土方は剣客から軍略家へ見事に変化し薩長と互角以上に戦っていた。もともと土方は好きだったが、ますます惹かれた。日野にある「土方歳三資料館」にも足を運んでみようと思う。2019/09/29
犬のぷるぷる
1
予想以上の面白さ。淡々と語られているようでいて、実は物語要素も強く、後半は土方の策略家な部分が前面に出ていて大満足。相馬主計の敵討ち説が新鮮だった。2014/06/16