内容説明
「手柄を立て、伊賀者の地位を上げられるような大戦がなくなってから久しい。我ら伊賀者は子々孫々まで三十俵三人扶持で我慢するしかない…」一人の伊賀者が貧困の末に病に果てたことをきっかけに、明屋敷番の有志たちが決起した。財の有り余っている大名家や旗本家から金子を盗みだし、それを伊賀者に分け与えるというものだった。当初、順調にいっていた盗みだったが、ある晩に、人を殺めてしまう。鷲津軍兵衛率いる北町奉行所と忍びを極めた伊賀者たちとの苛烈なる闘いが始まる…。書き下ろしで贈る大好評シリーズ第七弾。
著者等紹介
長谷川卓[ハセガワタク]
1949年、神奈川県小田原市生まれ。現在、静岡市在住。73年、早稲田大学大学院文学研究科“演劇専攻”修士課程修了。80年、「昼と夜」で群像新人文学賞を受賞。81年、「百舌が啼いてから」で芥川賞候補となる。2000年、『血路―南稜七ツ家秘録』で第2回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ベルるるる
8
シリーズも7巻目になって、今までに出来上がった人間関係があちこちでいい味を出している。鷲津のまわりのそれぞれに、読んでいるこちら側も思い入れができてしまった。宮脇信左衛門、三枝幹之進、妹尾周次郎・・・出番は少ないけど要所での存在感がピリリとしてて好き。2015/10/31
長くつしたのピッピ
6
シリーズ7作目。今迄のシリーズとは趣が違っていた。伊賀者の話が中心ではあったが、軍兵衛のはっきりすっきりとした物言いは健在で、読んでいて痛快だった。宿敵のはずの内与力の三枝との仲もいい感じで、良かった。ハードボイルド感が抜けて息を詰めずに読めたので気が楽だった。2015/07/25
woo
5
一部で指摘されてる通り、ややネタに困ってきた感はあるがそれでも水準は保っており代価に対する価値は満たしてるんじゃないか♪
文句有蔵
4
超面白かった!物語の筋立ても大層よかったが、これまでの人間関係が効いていて、こじれていたものが緩んだり、尚一層こじれたりしているのがよかった。三枝と島村と軍兵衛のやり取りは可笑しかったが、三枝の軍兵衛に対する理解に愛があって、「いい上司じゃないの!」と思わずほっこりしたり、事件の処理の為に駆け付けた友納が、担当者が軍兵衛と聞かされて「それ以上は何も訊かずに帰ってしまった」には大笑いした。宮脇もまた飄々と絡み、「北町には信左というお宝があるのに、アンタら蔑ろにし過ぎ!」と可笑しかった。名作!2015/05/08
コニタン
2
鷲津軍兵衛は人見知りが激しいな!こんな生き方してみたいけど、仕事がなくなるので怖くて出来ない。2013/01/14