内容説明
「みなさんは、この四〇〇〇坪の農地の相続人に指定されております」―土肥という、ごうつく爺さんが所有していた、都内の安アパートに住むワケありの四人。二九歳の広告マン、三九歳のヤクザ、三二歳のホステス、二九歳の大学生が、土肥爺さんの遺言により、初めての有機農業に挑むことに…。旬の山菜、キノコ、レモン、ミカンなどを愉しみながらも試行錯誤を繰り返す四人は、果たして相続人の資格を得ることができるのか?
著者等紹介
山田健[ヤマダタケシ]
1955年生まれ。78年東京大学文学部卒。同年、サントリー宣伝部にコピーライターとして入社。ワイン・ウイスキー、音楽、環境などの広告コピーを制作。2001年、天然水を使用しているサントリーの工場の水源地で、水質源涵養のために森林を整備する「天然水の森」計画を立案。環境広告「水と生きる」のクリエイティブ・ディレクターを経て、現在同社環境活動部部長シニアスペシャリストとして、「天然水の森」活動を推進している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yukari
33
初めて読んだ作家さん。土肥とゆうお爺さんが所有してたアパートの住人がお爺さんが持っていた農地の相続人になる。そのお爺さんの遺言状通り、無知な4人が有機農業に挑むことになった。 なんて無謀な話やと思いながら読んでたけど、失敗したり色んな発見があったりして読みながらすごくワクワクした。農業をするってことだけでも大変やけど、色んな経験をして、色んな人達と関わったり、新たな難題にぶつかったりして目が離せない感じでした。 予想してたよりも面白かった♪2019/01/20
baboocon
11
人に面白いと薦められて読んでみた。これは確かに面白かった!少し前に自分が自然農法に関する本をいくつか読んでいたこともあってタイムリー。バブル期に大家のごうつく爺さんから都心の一等地の農地を相続した4人が遺言に従って悪戦苦闘しながら有機農法を行っていくが…というストーリー。農園の豊かな自然から採れるキノコ・山菜・果実といった食の醍醐味や素人が農業を行う大変さ、作物の路地売りビジネスの機微、ビオトープという都心の楽園の夢、バブルの終焉と不動産投機の末路など、様々な要素が散りばめられていて楽しめた。2011/08/21
katta
3
都内の広大な土地を大家の死後、相続することになったアパートの店子たち。条件は大家おじいさんがやっていたように農業を続けることだった。草思社が左前になったころに出た本なので、ほとんど注目されずに終わった本が文庫で復活。すごく面白いので是非。2009/05/19
もけうに
2
キャラクターの造り方が小説というより児童文学のようだが、有機農業に関する部分は非常に面白い。美味そうであり楽しそうでもあり。児童文学のようなほっこりした内容も、息抜きに気楽に読めて良い。2019/10/29
楽天家業
2
一言でこの作品を表現しろと言われれば、「純粋に面白い」と、無二無三に答えるだろう。 登場人物もそれぞれ個性派でキャラ立てもしっかりしており、容易に感情移入しやすい。 題名は「遺言状の罠」なんておどろおどろしいが、その実それこそが物語の肝であり、 また、スムーズに物語を進める一本のシナリオとして機能しており、 上手い事を考えたものだとそのキャッチコピー性には感心する。 本書の内容は農業に関心のある人向けではあるが、昨今の市民農園ブームや 食や農家保護についての問題等を見るに、読んでおいて損は無いと思う。2011/02/11