内容説明
大学図書館に勤める斎藤史は、小学校の同級生の大村生夫に呼び出され、二十年ぶりに再会することになった。担任だった杉本先生が定年を迎えるにあたり、かつてクラスで作成した文集を揃えて贈ろうというのだ。だが、肝心の文集が見当たらない。途方にくれ、かつてのクラスメイトたちに連絡を取り始めるのだが、文集の存在は彼女たちの記憶からも消えていた―。当時の思い出と記憶をたどり、史は消えてしまった文集の謎を追うが…。爽やかな感動を呼ぶ、書き下ろし長篇ミステリー。
著者等紹介
青井夏海[アオイナツミ]
千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2001年、野球ミステリー『スタジアム 虹の事件簿』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
47
転校生の孤独とは、周囲が受け入れてくれないことに原因があるのでは? 子どもは先のことを読まないし、考えない。条件によっては、大人以上に残酷な仕打ちをしてしまう。視点人物の史が、ラストではずるい優等生に見え、鮎美が神対応してくれたように思える。しかし秘密のグループはどうなのだ。彼女たちには責任は問われないのだろうか。結末を読んでもなお、もやもやしたものは残る。小学生の日常とはいえ、苦い。2017/08/31
たぬ
29
☆4 実にメンタルを削られる作品だった。小5女子面倒くせえ。この年頃の女児って「みんなちがって、みんないい」? 何それ? 状態だよね。工藤さん絶対にトラウマになってるでしょ。あんな陰湿なことされて良い思い出になってるわけがない。ラスト、「嬉しかった」とは言ってるけど笑顔であるとは書かれていないのが意味深。2021/10/18
ist
16
子どもの時の史の感情はよくわかる。 のけ者にされるのはイヤだから秘密を暴いてでも知りたい。仲間にしてほしいと思いながら、建前や大人の目を気にして、ちゃんとしてない多美みたいのがムカつくっていう複雑な感情。 遊びで秘密のグループ作るのも、まあこの年頃ならね。普通だよね。 ハキハキしなくて、打っても響かない、コミュニケーションに難がある転校生を邪険に扱ってしまうのも分かる。 文集でイジメたのは黒歴史で葬りたいだろうなあ。 でも大人になっても人格的に史は成長してなさすぎでは?2017/09/24
Walhalla
14
小学校時代の恩師が定年を迎えるとき、ふみ(=主人公)は自分のクラスの担任をしてもらった年だけクラス文集が存在していないことを知り、その謎を追いかけるといったストーリーでした。 小学校の高学年ぐらいでは、一般的には男子よりも女子の方が精神的成長が早いと言われていますね。 いわゆる「女子グループ」の内情は、私にはあずかり知らない世界ですが、こういう出来事って、起きるものなのでしょうか。2016/01/06
kotono
12
女子特有のグループが描かれていて、自分が小学生の頃もこんな感じだったかもしれない…と苦しくなった。自分だけ仲間外れにならないよう、クラスの中でのリーダー的存在の子に気に入られようと必死になったり。「秘密」を共有できることに喜びを感じたり。終わり方は爽やかなのかもしれないが、なんだか嫌な気持ちが残る。2018/02/17
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