内容説明
初鰹で賑わっている日本橋・塩梅屋に、頭巾を被った上品な老爺がやってきた。先代に“医者殺し”(鰹のあら炊き)を食べさせてもらったと言う。常連さんとも顔馴染みになったある日、老爺が首を絞められて殺された。犯人は捕まつたが、どうやら裏で糸をひいている者がいるらしい。季蔵は、先代から継いだ裏稼業“隠れ者”としての務めを果たそうとするが…。(「あおば鰹」)義理と人情の捕物帖シリーズ第三弾。
著者等紹介
和田はつ子[ワダハツコ]
東京都生まれ。日本女子大学大学院卒。出版社勤務の後、テレビドラマ「お入学」の原作『よい子できる子に明日はない』、『ママに捧げる殺人』などで注目される。ミステリー、ホラーの著作が多数ある。近年は時代小説にも力を入れている。小説の他に、ハーブ関連書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆのん
59
【料理人季蔵捕物控シリーズ3作目】亡き恩人の料理屋を継ぎ裏稼業も同時に継いだ季蔵。今回は砂糖を巡る連続殺人。レギュラーメンバーの豪介や瑠璃はあまり登場しなかった。瑠璃と季蔵のこれからが気になる。352019/01/30
ユメ
40
貧しくも真っ当に生きる人々の命が、権力者の私腹を肥やすための駒として使い捨てにされてゆくのがあまりにやるせない。季蔵がどれだけ裏稼業に励んでも真の黒幕は遠く巨大で、また悲劇が繰り返されてゆく。本書の結末を受けてもう少しいい塩梅に……と思いきや、烏谷はさらなる闇が訪れるだろうと言う。シリーズがこの先長く続いているだけに、お江戸がどうなってゆくのか気がかりだ。「塩梅屋」の先代長次郎の頃からの習わしで、日頃の感謝をこめて持ち出しで初鰹を振る舞う「人情刺身」の話には、荒んだ心がしばし癒された。2019/04/07
はにこ
29
焼死や大店の主の死、寺での事件などを解決していく季蔵。しかし、黒幕になかなかたどり着けない。町方のお偉いさんを巻き込みながら推理して追い詰める。だんだんそっちの仕事も上手く引き継げるようになってきた。人の心の闇につけこんだ犯人。黒幕の描写がややあっさりしているように感じたけど面白かった。2021/09/22
坂城 弥生
25
連作の話だけど、今回は一本の芯があって面白かった。2019/12/12
Mark
21
人間の心に潜む悪と優しや、そしてほんの僅かな思いの違いが悲惨な事件を引き起こしてしまう。人の心はそんなに単純ではないと思うけれども、なぜ簡単に悪い方向へ向かうのだろうか。今回の料理、江戸の風情が出ていましたね。2015/02/18