内容説明
陰間専門の子供屋から助けだされた三吉は、双子の妹おきち、おりきを始めとする立場茶屋の人々の愛情に支えられ、心に深く刻みつけられた疵も次第に癒えつつあった。そんな折、品川宿で“産女”騒動が持ち上がった。太郎ヶ池に夜遅く、白布にくるまれた赤児を抱えた浴衣姿の女が、出現するという…(「秋の蝶」より)。四季の移り変わりの中で、品川宿で生きる人々の人情と心の機微を描き切る連作時代小説シリーズ第三弾、書き下ろしで登場。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となった『蘇鉄のひと 玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
84
善助の暗い過去が明らかにされて、気持ちが塞がってしまいます。自分がしでかしたこととはいえ、背負った業の重さが尋常ではありません。女将おりきの周りには、辛い過去を持った人が集まっています。いや、おりき自身がそんな人たちに積極的に手を差し伸べているからなんです。だからこそ、立場茶屋兼旅籠おりきの人々は"家族"になっていくんですね。それが端的に示されたのが、貰い火で茶屋の部分が焼失してしまった事件です。困難な状況で皆が示した心意気は、正に家族だからこそのもの。今後、どう立ち直していくのか、次巻以降が楽しみです。2024/01/06
とし
47
立場茶屋おりき「秋の蝶」3巻。「おりき」で働く人々、お客さん、周りの人達の悲喜こもごもが織りなす騒動。鉄火で人情化、好奇心旺盛等々のおりきさん魅力的ですね~。短編風で1巻からの連作、ほのぼのさわやかなシリーズ次巻も期待。2014/03/15
Walhalla
36
『立場茶屋おりき』シリーズの3作目です。三吉くんが徐々に回復していく様子や、おきわさんがひとときでも幸せを掴んだ様子など、この作品の良さが滲み出たような話題がある中で、またしても最後に大きな困難が・・。おりきさんが心休まる暇もありませんが、乗り越えた先にはきっと新たな絆が生まれると思いたいですね。1話目の『秋の蝶』が特に印象的でした。次作も楽しみです。2020/04/14
はにこ
34
前回辛い思いをした三吉が元気になってきていてほっとした。善助の悲しい過去。自分が悪いとはいえ、背負った業が辛いねぇ。産女騒動、ホラーものかと思ったけど違ったねwwおきわちゃん、若いのにすごい決心。どうか夢を叶えてほしい。そして立場茶屋に降りかかった災難。犯人は?次が気になる!2021/03/23
坂城 弥生
34
やっぱり覚悟がある人は素敵だな。と思う。このお話では、人が覚悟を決める瞬間を見ることができて、いい話だと思う。2019/09/08