内容説明
本書では、“ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの”のフレーズで知られる「小景異情」に代表される初期抒情詩を集めた『抒情小曲集』をはじめ、『愛の詩集』『女ごのための最後の詩集』など十四の詩集から百五十二篇を収録。七十二年に及ぶ詩人の生涯とその魅力を伝えるオリジナル版。
目次
抒情小曲集
青い魚を釣る人
鳥雀集
愛の詩集
第二愛の詩集
寂しき都会
忘春詩集
鶴
鉄集
哈爾浜詩集〔ほか〕
著者等紹介
室生犀星[ムロウサイセイ]
1889年、石川県金沢市生まれ。12歳で裁判所の給仕となり、働きながら文学を志す。1918年、『愛の詩集』『抒情小曲集』を刊行し、詩壇での地位を確立。翌年には『性に目覚める頃』を発表し、小説家としても名を成した。1958年『杏っ子』で読売文学賞、評論『わが愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞、1959年『かげろふの日記遺文』で野間文芸賞を受賞。1960年、室生犀星詩人賞を設定。1962年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
117
「蜜のあわれ」で知った室生犀星。詩の方はどんな感じなのかな?と思い、手に取りました。本書は「抒情小曲集」「愛の詩集」「女ごのための最後の詩集」など14の詩集から152篇を収録。全体的に物悲しさが漂う作品が多く、読んでいるといつか見た遠い夕暮れを思わせるような、ノスタルジックな雰囲気を感じました。私のお気に入りは「女ごのための最後の詩集」。幽かなユーモアとロマンチックな作風がとても素敵。こうばいの枝を折つて見たら/枝の中まであかかつたわ、/べにが幹の中を走つてゐるのね、/驚いた。(「紅梅の木」より)2017/09/01
へくとぱすかる
46
「青色」と「淋しさ」の抒情あふれる詩。高校時代、「ふるさとは遠きにありて」の「小景異情」も、遺作「老いたるえびのうた」も知りながら、犀星の詩を読まず、小説作品ばかり読んでいたことを恥じる。詩のヴァリエーションはとても広く、特に初期作品は、今まで読まなかったことがもったいないと感じるほど良い。とはいえ小説も、その基本に詩と犀星自身の生い立ちがあると思えば、改めて読み直したいところだ。2017/05/28
pulpo8
22
怪談を読んですっかり犀星ファンになってしまった。それで詩を買ったり全集(古本)を買ったりしたわけだけど、やっぱり良いなぁ。解説にもあったけど、この「清廉潔白さ」はキリスト教に通ずるものなのかな?クリスティーといい・・・今度キリスト教の本を読まなくちゃ。さて詩について。「星の断章」って凄くカッコイイ。「月夜」も良い。「何故詩を書かなければならないか」「世界の涯」「誰かをさがすために」が特に好き。「ひとりづつがべつにつくられ」の中の「べつべつに生まれたから会へたのだ」にもキュンと来ました。ロマンチックねぇ。2014/11/14
❁Lei❁
15
巻頭に金沢や犀星のカラー写真がある素敵な一冊。全ての詩集を網羅しているわけではなく、素直に美しいと直感できる叙情的な詩が中心に収録されているように感じました。犀星の魅力がぎゅっと詰まっています。新潮・岩波にはない「犀川」という詩が入っていてうれしいです。故郷の川辺の情景と重ね、懐かしさに胸を打たれました。2023/07/27
ゆうづつ
14
小景異情、秋の日、壁上哀歌、青草に坐す、若葉は燃える、音楽会の後、夏の日の思ひ出、毎日の散歩、ちやんちやんの歌、帆は白く、老いたるえびのうた/荻原朔太郎との出会い話が好きです。2014/08/18