内容説明
ヒマラヤで氷河湖が決壊した。永年閉ざされていた下流のダム湖に浮かび上がったのは古代の「方舟」だった。こんな高地になぜ文明の跡が?いぶかる調査隊をさらに驚愕させたのは内部から発見された大量の木簡だった。それらにはみな、不思議な蓮華模様が刻まれており、文字とも絵とも判然としなかったが、なんらかのメッセージを伝えているのは確かだった―。一体、何者が、何を伝えようというのか?第3回小松左京賞受賞作『神様のパズル』に続く、傑作長編SF、待望の文庫化。
著者等紹介
機本伸司[キモトシンジ]
1956年、兵庫県宝塚市生まれ。甲南大学理学部(現理工学部)卒。出版社、映像製作会社を経て、1993年、フリーランスのPR映画ディレクターに。2002年、『メシアの処方箋』で第3回小松左京賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ist
15
神様のパズルと構造的に同じ。章題がダサいのも同じ。主人公にはずっと感情移入できなかったが、難しいことは読者の代わりとなって質問してくれる。インドで方舟が見つかり、中から出てきた木簡の蓮華模様を解読すると、なんらかの塩基配列が表れ、それを再生復元してみたら、菩薩のような人ではない何かが生まれた。生命倫理とは?救世主とは何物なのか?個性豊かでひどい登場人物たちと繰り広げる科学冒険。カビリアがどんどんかわいく?なっていくし、ロータスはどんどん容赦なくなっていくし。2014/06/15
kochi
13
温暖化で溶け出したヒマラヤの氷河から、数千年前のものと見られる方舟と大量の木簡が出現。一種のオーパーツ発見にたまたま居合わせたゼネコン勤務の鈴木は、ロータスという人物から木簡の謎に関するメールを受けとるが、それは、彼だけでなく人類社会を揺るがす大事件の始まりだった… 目次のタイトルを見て目を白黒していたのだが、読み進めるうちに意味が分かり思わずニンマリとする仕掛け。まさに、二千年の時を超えて繰り返される遺伝子工学的メシアの誕生劇とその後に、鈴木くんのとんだヨセフ的役回りにも、やはりにやけてしまう。2021/12/07
あぶらや
11
この作者の2作目。前半は少々テンポが悪いが、中盤からは引き込まれる。 五千年前の謎の木簡からDNAに手を加えて代理母にメシアを生ませると言う、とんでもなく不届きな事が軽く?語られる。 しかし、自分が助けようとする相手が自分にとっての救世主になると言う結末に納得。 この作家、読み続けます。2016/05/11
to boy
9
前半はよく考えられたストーリーだと思います。巧妙です。トントンと話が進むので読みやすいSF小説です。空ちゃん登場後はちょっとSFから離れますが、それなりに面白かった。「人間にとって救済とは」をテーマにしているようだが結論は重たくないです。ストーリーを楽しむ小説ですね。2013/08/25
STRAP
6
想像のつかない展開の連続。自分の価値観、世界観が少し変わった気がする2013/12/19