内容説明
晩秋の下仁田街道を足早に歩いてゆく渡世人の姿があった―飴色に焼けた三度笠を被り、黒の棒縞の合羽、腰に黒鞘の長脇差を差した長身の男の名は、伊三郎。故国を棄て、無宿渡世を続ける伊三郎は、道中何者かから逃れる弥吉という男と出会った。奉公に出された許嫁に会いにゆくという弥吉に、伊三郎は道連れを求められるが、彼には追手の影が…。やがて、弥吉の旅に隠されたもう一つの目的を知った伊三郎にも、刺客たちが容赦なく襲い掛かる―。著者渾身の書き下ろし時代長篇。
著者等紹介
黒崎裕一郎[クロサキユウイチロウ]
1942年東京生まれ。テレビ脚本家として、『必殺仕掛人』シリーズ『木枯し紋次郎』『銭形平次』などの作品を手掛けた後、95年、中村勝行の本名で書いた作品『蘭と狗』で第六回時代小説大賞を受賞。以降、黒崎裕一郎と筆名を改め次々と作品を発表し、注目を集める
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