出版社内容情報
【目次】
内容説明
戦後、本土復帰前の沖縄に、ある事件で九死に一生を得た東貞吉が帰ってきた。再び琉球警察の公安担当の一員として、そして米軍の意向を受けて動く者として。その当時の沖縄はベトナム戦争の前線基地として、戦争の負の熱気に包まれていた。米軍に対する反対派が過激さを増していくなか、公安警察の矜恃と日本人の誇りに揺れる貞吉の運命は…。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年横浜市生まれ。早稲田大学卒業。『黒南風の海―加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞を、『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞を、『巨鯨の海』で第4回山田風太郎賞と第1回高校生直木賞を、『峠越え』で第20回中山義秀文学賞を、『義烈千秋 天狗党西へ』で第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
120
沖縄民衆にとっての戦後は、敗戦の犠牲と矛盾を押しつけた日本と占領者であるアメリカへの怒りと不信が高まった。自分たちの未来が日米両政府で勝手に決められると思われた1960年代は、マグマが噴出するように暴力が荒れ狂った。そんな時代に治安を守る公安警察官となった東貞吉は、沖縄で差別される奄美出身で左派にも友人がいるという矛盾の塊だからこそ激突の最前線に立たざるを得ない。人間としてのプライドを守りながら決して諦めず、仲間や恋人や無辜の民を傷付けないギリギリのところを必死で探る綱渡りの連続は痛快な権力への反抗劇だ。2025/12/07




