出版社内容情報
「部屋が人生を決めてしまうのかな?」
「それとも、人生が部屋を決めるのかね」
フランス、ドイツ、イタリア、アメリカなど各国で翻訳されたロングセラー『おやすみ、東京』。そして、新たな東京の物語が始まる。
隣の天使から届けられる悪魔のケーキ。ベランダに置かれた大きな桃。「巨大アパート」でゴム印をつくりながら物語を紡ぐ青年。世界でいちばん雷の落ちない部屋。夜な夜なカラスと話す電話回収屋――。
東京のアパートで暮らすさまざまな人びとの夢やさみしさ、ささやかな幸福と奇跡。あたたかな交感が街を照らす、愛おしくかけがえのない21の小さな灯の物語。
【目次】
内容説明
あなたもわたしも、みなつながり合っている。隣の天使から届けられる悪魔のケーキ。ベランダに置かれた大きな桃。「巨大アパート」でゴム印をつくりながら物語を紡ぐ青年。世界でいちばん雷の落ちない部屋。夜な夜なカラスと話す電話回収屋―。東京のアパートで暮らすさまざまな人びとの夢やさみしさ、ささやかな幸福と奇跡。あたたかな交感が、街を照らす。愛おしくかけがえのない21の小さな灯の物語。
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京都生まれ。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による創作とデザインの仕事を手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
98
カラスが言う、「人と人はつながっていないようで、みんなつながってるってことだ」。アパートなどの窓がひしめき合う東京、その窓からこぼれ落ちる灯りのように目に入る光景を彼は空から眺めていた。ハッシュタグで何かしらの想いを共有する21篇の物語が心に染み込む。悪魔のケーキのレシピ、無敵の笑顔、ベランダの桃、走る女の靴音、F-20Wの自転車、前田さん、高層ホテル、最初の住人、隣は何をする人ぞ。少し変で不気味で孤独で可笑しくて切ない。シューキーパーみたいに誰かが自分を毎日ぐるりぐるりと整えてくれたらなあ。ホントそう。2025/08/24
さちこ
63
心温まる話が多く、読んで良かった。著者によるイラストが、各話に素晴らしく合っていて、何度も見返した。2025/08/27
シャコタンブルー
55
東京のアパートに暮らす人たちの21話の短編集。長編の合間の箸休めとして気ままに読んだ。たぶん一気に読んだらあっさりしすぎて物足りなさを感じたかも知れない。だからこの読み方で正解だったと思う。読後に21話のタイトルを見たがほとんど内容を思い出せない(笑) 「天使が焼いた悪魔のケーキ」「世界でいちばん雷の落ちない部屋」はタイトルで内容を思い出した。どの話もほのぼのとした温かい気分になったのは間違いない。「走る女」「幽霊の電話」が印象に残った。2025/09/10
糸巻
27
東京のアパートで暮らす人たちを主人公にした21話収録の小さな物語。時代の移り変わりと共に無くなったり終わってしまうものへの寂寥感だったり、逆に何かが始まるかもしれない期待感のようなものが心に残る短編集だった。1話が短くもう少し先を読んでみたい話もあったり、よく分からないポエムの様な話もあったり。結局、人の暮らしというものは劇的な事などそうそう起こるわけではなく、小さな出来事が積み重なって出来ていて、その中から感じる幸せのようなものを糧にして生きているんだと思う。「うしろまえ」「チョコレートケーキ」が好き。2025/08/10
びぃごろ
19
題名の通り、東京にあるアパートに纏わる物語が21編。寝しなに読むのが丁度よかった。多くの人が住む東京で「アパート」の一室に住む人たちをとりあげる。そこに自分の一片を見出す人がおおいのではないだろうか。「うしろまえ」を読んだ翌日、それに気が付かない人もいるのかねぇと思ったが、裏返しに服を着てる自分に夕方気が付いた…。「ストレイ・クリケット」夜な夜な部屋にいる虫の声を聞き、理解しようと努める男。「おひとりさま」「トカゲ式ゴム印会社」は結ばれる未来が見えてよかった。2025/08/22