内容説明
「俺はね、こんな人生だったけど、しろひげ先生や中鉢さんに仕事とはいえ優しくしてもらえたことがさ、嬉しかったんだ。人間として扱ってもらえてるって感じがしてね。なんかわからないけど泣けてくるよ」「大丈夫。私の人生のなかで二宮さん、面倒くさいランキング上位ですから。とっても人間らしい、一生忘れない私の大切な友人ですよ」(第五話 「誰もずっとひとりではない」より)最期まで寄り添いたい。夜の歌舞伎町やケニアの島で、最年少の市長として、そして在宅医として、運命に流され、人の縁をつなぎ、かけがえのない人生を共に生きる物語。
著者等紹介
山中光茂[ヤマナカミツシゲ]
三重県松阪市生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科及び群馬大学医学部を卒業。医師免許を取得。学生時代は、歌舞伎町で名物スカウトとして活躍。2004年からはケニアにおけるエイズ対策プロジェクトの立ち上げなどに関わる。2007年三重県議会議員選挙に立候補し、当選。2009年松阪市長選挙に当選、当時全国最年少の市長となった。現在は、東京都江戸川区のしろひげ在宅診療所において、院長として「在宅医療」の普及に尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆのん
75
人は生まれてきたら必ず死ぬし、誰かしらに迷惑もかける。例えば自分自身が癌になって、あちこちに転移して余命いくばくもない状態になったと想像してみると恐怖しかない。それでも最期の時は少しでも幸せを感じたいと思う。人間とは何て欲張りな生き物なのだろう。物語の主人公である医師はそんな患者に寄り添い、様々な優しさを表現する。そして、その優しさは周囲の人達に伝染する。最期の時にも『人間』でいられる、自分らしくいられるのはものすごく大切な事だが、どの位の人が実現できているのだろうと考えてしまう。2021/03/07
kei302
60
前・松阪市長の山中光茂さんの小説! しかも、今は在宅医療専門医をされているそうで、小説出版にも驚きですが、経歴を知って、さらに驚きました。 隣の市の市長さんだったのに、県会議員もしていたのに、知っていることと言えば、図書館にスタバを入れると提案していたこととその図書館の建てかえでもめていたこと。 松阪市の図書館、県民なら貸出してもらえるし、NAXSOS利用ID発行してくれるし、雰囲気もいいし、 とてもステキ。山中さんのおかげ。2021/03/15
tetsubun1000mg
22
山口恵以子さんのSNSに山中光茂の名前とひげ面の写真がアップされていて、もしかして元松坂市長では?検索するとこの本が見つかった。今は東京江戸川区で在宅医療所を開設しているらしい。氏の市長時代に当時松阪市に住んでいたので名前と顔は知っていた。当選後にヒゲを生やしだした変わりもの市長の印象。慶応卒後に群馬大医学部を卒業後、政治活動をして最年少33歳で市長に当選し7年務めたようだ。その後は全く知らなかったが今つながった。小説らしいがほとんどリアルだろう。しかも山口さんのお母さんを看取った先生だったとは驚きです。2021/04/13
雪だるま
16
小説という事ですが、おそらく多分に事実を含む小説なのではないでしょうか?変わった経歴だけれど、市長としても医者としてもとことん人と向き合い、人のために仕事をしていらして素晴らしいと思います。(恋人に関してだけはヒドイと思いましたが。)現在も在宅診療所で在宅医療に尽力しておられるという事で、こんなお医者様に最期まで診ていただけたら幸せだろうなと思いました。#NetGalleyJP2021/03/15
エル
14
すごく素敵な本でした。普通の在宅診療の話だけじゃない。特にケニアにいた時の話が良かった。病気になって幸せ、なんて私は思えないけど、限りある今を大切にしようと思えるのは死を意識した時かもしれない。その時にひろしげ先生みたいな先生に診てもらえたら幸せだと思う。2021/07/11