出版社内容情報
志賀倫成(しがみちなり)は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長で、その売上は会社の大黒柱だった。
志賀は、スキャンダル記事こそが他の部門も支えているという自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。
だが大学生の息子・健輔(けんすけ)が、ストーカー殺人を犯した上で自殺したという疑いがかかったことで、
幸福だった生活は崩れ去る。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落、社の問題雑誌である『春潮48』へと左遷。
取材対象のみならず同僚からも罵倒される日々に精神をすりつぶしていく。
一人生き残った被害者の娘・奈々美から襲われ、妻も家出してしまった。
奈々美と触れ合ううちに、新たな光が見え始めるのだが……。
内容説明
人間の不幸に底はないのか?水に落ちた犬は叩かれ続けるのか?息子の殺人疑惑で崩れ去った幸せ―。スキャンダルとネットの噂に奪われた家族。だが男は諦めなかった―。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年生まれ。作家。会社員生活のかたわら、2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、翌年デビュー。この受賞時、史上初めて二作同時に最終選考に残った「災厄の季節」も『連続殺人鬼カエル男』と改題し、のちに刊行され話題を集める。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
438
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。中山七里デビュー10周年、12ヶ月連続刊行企画第3弾(現状5/12)は単品作品でした。文春砲被害者・加害者の誹謗中傷社会派ミステリ、途中まで快調に飛ばしましたが、最後の失速がやや残念、ただ12ヶ月連続刊行企画の中では現在BESTの作品です。文藝春秋社には発行出来ない作品でした(笑)続いて第6弾『ヒポクラテスの試練』を読む予定です。2020/07/11
ウッディ
292
芸能人のスキャンダルを暴き、部数を伸ばす週刊誌の副編集長の志賀は、ある日、彼の息子がストーカー殺人を犯した上で自殺したことを告げられる。世間からのバッシングとマスコミからの一斉攻撃、それは加害者の気持ちを考えず、自分がやってきたことへの報いだった。被害者と加害者の立場、マスコミ報道のあり方、新潮45を彷彿とさせるLGBT否定への是非など、考えさせられる設定が満載の社会派小説だったが、掘り下げが浅く、生かし切れていないのが残念。意外な真犯人も、無理やり感があり、ラストが尻切れトンボな印象でした。2020/09/06
いつでも母さん
227
『己を安全圏内に置きながら、世間やら良識やらを盾にして気に食わない相手をたたく。大樹に隠れて石を投げる。そうした有象無象思惑の集合体が正義になる例が少なくない』このあたりの思いが心に残る。事件の度に考えさせられてきたのに、今またこんな時でもTVや新聞から伝わる多くの人間の行動に憤り覚える私の『正義』って何?いや・・この作品はツッコミどころはあるものの、面白く読んだ。真犯人にはビックリだが、こんなラストは嫌いじゃない。中山さん12ヶ月連続刊行企画第三弾!この刑事たちは既読のはずなのに記憶がない(汗)2020/04/07
ムーミン
225
登場する出版社や雑誌の名前から見えてくる底辺の主張的なものには、意図を感じて正直解せないものを感じました。でも、ストーリーの展開にはぐっと引き込まれ、楽しい読書タイムになりました。2020/07/20
イケメンつんちゃ
200
膝小僧は痛い 改行を使っております 暑さと治安悪化がより心配している 猛暑と酷暑のメトロノーム 右に左に鳴り響く中 つんちゃんパパは 草刈りに マスメディアも家族も 不要不急の外出と言っているのに 年寄りは全く聞かない 三途の川にそんなに行きたいのか 戻ります 加害者家族と被害者家族の化学反応 それよりも 誹謗中傷を繰り返す 第三セクターに 天竜源一郎の延髄蹴り 中坊のいじめにも てんでダメだし まるでダメだし イヤミスだけど ただただ 超おもしろかった とにかく心穏やかな世界を 函館スプリントステークス2024/06/05