内容説明
戦国時代を終わらせ、全中華を統一した秦王・正。始皇帝の偉業を支えた漢・李斯、理想の国造りを夢見た思想家・韓非、干戈を捧げて戦った将・王翦、独裁者を倒すべく暗殺を図った好漢・荊軻…皇帝の廻りには、数多くの桁外れの男たちがいた。見果てぬ夢を見続けた始皇帝・正と、それを取り巻く男たち。中国初の帝国・秦の興亡と、その遺構を得た漢の勃興を、数々の話題作で評判の岩井三四二が描く、中国歴史小説の傑作。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年岐阜生まれ。一橋大学卒業後、会社勤務を経て、96年『一所懸命』でデビュー。同作で第64回小説現代新人賞受賞。98年『簒奪者』(『兵は詭道なり 斎藤道三』と改題)で第5回歴史群像大賞、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で第10回松本清張賞、04年『村を助くは誰ぞ』で第28回歴史文学賞、08年『清佑、ただいま在庄』で第14回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
26
戦国時代末期から秦の成立と滅亡までを主たる登場人物を繋げて描く。ダイジェスト版みたいで通しの主人公がいない。荊軻、徐巿、李斯、韓非、そしてラストに劉邦と項羽が登場。わりとくだけた感じでかいてますね。2018/09/19
雅
21
秦の統一から没落まで、語り手を変えながらサクサク読ませてくれる。馴染みの無い中国の歴史小説でしたが、この作者らしい雰囲気は健在でした2018/09/24
鯖
20
秦から前漢までを始皇帝を通して描く。まんがちゅうごくのれきし読んだ直後だったから、ものすごく脳内がスムーズだった。でも始皇帝の御姿はすべてFG〇のあれで再現された。全くプレイしてないゲームなのに、圧がつよい。タイミングばっちりだから、特需があるといいなあ。始皇帝は変な方向にふりきれて真面目な人なのかなあ。項羽が都を焼き払う中、必死に秦の法律を持ち出した蕭何よく頑張った…。蕭何は話の分かる三成のイメージ。ラストは始皇帝の墓を見物に来た劉邦の「こんな墓造れば国は滅ぶ。おれのは、こんなに大きくなくていい」で〆。2018/12/12
マサ
12
登場人物も絞られていて読みやすい。正の変化に人間らしさを感じる。法は正義と理解されがちだが、秦の場合、法は恐怖だったのだろう。久しぶりの岩井三四二氏、面白かった。2019/09/05
まさ影
12
日本を舞台とした歴史小説を多く手がけてきた著者による中国歴史物(おそらく「初の」?)は秦王正・始皇帝を取り巻く人物たちの物語。正を主人公とするのではなく周りの人間たちに焦点を当てることによって正の姿を浮かび上がらせるという手法は最近よく見かけるがこの人物には効果的。読後感も良かった。2018/09/18
-
- 和書
- ラスト・ソング