内容説明
甲賀の忍びあがりの土豪、滝川久助は、里の陰謀で父を失い、兄を殺め出奔。諸国を放浪した久助改め一益は織田信長と出会う。一益は、射撃や忍びの腕だけでなく、武将としても力をつけ、信長の寵臣として存在を大きくしていく。そんな中、信長が斃れてしまう。一益を頼みとする若き前田慶次郎、伝説の忍者・飛び加藤といった魅力的な脇役も登場。謎の多い武将、滝川一益の波乱に満ちた生涯を描く。第9回角川春樹小説賞受賞作。
著者等紹介
佐々木功[ササキコウ]
大分県大分市出身。東京郊外に育つ。早稲田大学第一文学部卒業後、一般企業勤務。生来の歴史小説好きが高じて、歴史小説を執筆するに至る。『乱世をゆけ―織田の徒花、滝川一益』で第9回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
102
著者の作品は初読みだけど、自分好みのハードボイルドタッチな作風で楽しめた。戦国の世、信長の卓越した人柄に惚れ込み、また信長からも重用され、ともに乱世を駆け抜けた滝川一益を描く。甲賀の忍びの出ということもあり、他の戦国武将とは一線を画したクールな姿が全編に冴えわたる。一時の徒花と言うには惜しい、戦国武将らしからぬ一人の男の熱い、だが静かな生きざまを彼の中に見たような気がする。2020/04/12
ポチ
61
滝川一益が戦、鉄砲、そして忍び働きなどの能力が優れ魅力的に描かれている。信長と阿吽の呼吸で会話が出来るって凄いなぁ。最も関東管領を命じられた程の人物だから当然かな。最後の前田慶次郎の出自に、ほぉ〜!2018/01/22
よこたん
52
“己を人と言いきるくせに、侍だの忍びだのと形にはめようとするな。人として生まれたなら、己を生かせる場を求めよ。それが人だ。” 前田慶次郎に関係ある人くらいの知識しかなかったけど、本の中で動く動く!躍動感とワクワクする気持ちが止まらなかった。あんまり歴史的に知られてない人物だと、比較的自由にその人となりを描けるからだろう。信長と一益の対話に痺れつつ、やがて訪れるあの日に向かっていくことが分かっているだけに辛いものもあった。人としての器の大きさがなければ、家臣はついてこない。家康よりも秀吉が陰湿な感じだった。2019/09/06
ren5000
35
織田の有力武将だった滝川一益。名前は知ってるけどよく知らない不思議な人物。本書では一益の生涯をドラマチックの描いたエンタメ歴史小説でした。謎の多い人物なので読んでてすごく新鮮で面白かった。あまり評価の高くない人物だけどあの厳しく人を見る目が確かな信長が重宝してたのだから優秀な人物だったと思う。2018/08/30
maito/まいと
28
2017年末に、すごい作品とすごい著者に巡り会えた!今年読んだ歴史小説の中で1・2を争う完成度の高さに驚くばかり。織田信長の家臣団の中で著名にも関わらず実はよくわかっていない人物・滝川一益を描いた歴史小説なのだが、忍びバトル・鉄砲のスナイパーぶり、武将としての完成度の高さ、家臣団との絆等々、見所たくさんの要素を出しながらキレイに昇華していく、高い領域でのバランスの良さが読み心地よい。史実の折り合わせも文句なく、伏線の張り方も見事すぎる。今後の作品が楽しみすぎる作家さんだ。2017/12/23