出版社内容情報
明治15年の横濱。海産物問屋の四女・すずは、車引の才蔵やアメリカ人カメラマンのモーリスといった街の人々から慕われつつ、家業の手伝いをしていた。ある日、友だちの喜代から想い人への手紙を頼まれるが、清国人が多く住む南京町でスリに遭い、手紙を奪われてしまう。それを助けたのは商いで見知っていた劉鴻志だった。その際に「ワンタン」をご馳走になり、食いしん坊のすずは劉に淡い恋心を抱く。しかしその頃横濱には、水死した娘や出所不明で流通する阿片など、不穏な空気が漂っていた――。明治初期の横濱に生きる人々をみずみずしい筆致で描いた第8回角川春樹小説賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まりお
45
舞台は明治の横濱。横濱の書かれ方がその時代、その場所が良くわかる、良い表現だった。清国人、米国、そして日本のごった煮感が溢れる町だったのだな。風景の描写が一番好き。2017/06/18
万葉語り
35
角川春樹小説賞受賞作。今後が甚だ楽しみな作家さん。ラノベっぽくてすぐ読める。つんてんらいらは春天来了。キャラクターがたくさん出過ぎて整理しきれなかった感がある。舞台と時代背景はとても好みだった。2016-2592016/12/24
ぽろん
26
文明開化の薫りが、漂う中、おすずというお茶目な娘が、初恋を胸に秘め、阿片がらみの事件に首を突っ込んでいく。ちょっと少女漫画の様な雰囲気で好感の持てるストーリーだった。つんてんらいらとは、春が来たという意味らしい。劉さんにも春が来たのかな。続編はあるのだろうか。角川春樹小説賞。2017/01/07
Nazolove
25
折角横浜の本を買ったが、思ってたのよりちょっといまいちだったかな?と言う印象であった。 ただ異国情緒的なところや海外人を嫌う、なんていうシーンは雰囲気が出ていてよかった。 イラストはなかなか良かったし主人公の感じもよかった。 ただ話の内容は今一つ入り込められなかったかな、と思った。 歴史的背景はもうちょっと出してほしい感じであった。 また横浜へ行くのでその時までもうちょっと読んでおきたいと思う。2016/11/16
toshi
17
すずを巡る才蔵、劉、モーリスの物語かと思いきや、途中からサスペンス・ミステリーになってゆく。 明治維新の横浜が舞台。 すずがとても魅力的に描かれていて、ストーリも面白いんだけど、タイトルから想像できるようにわざと難しい書体の漢字を使ったり、分かりにくいカタカナ語を使ったり、また描写が中途半端なところが多く、同じところを読み返さないと理解できないことが多くてちょっと読みずらい。2016/10/29