感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
baba
47
冒頭の姉妹の会話に引き込まれ、「励み場」とどう関わっていくのだろうと興味深々。若くして元締手代となった信郎と、ある屈託をかかえる妻の智恵がお互いに真の励み場を見い出すまでの軌跡。それにしても夫の為とはいえ、馬鹿なことを考える智恵にドキドキ、大事に至らなくて本当に良かった。二人の周りの人物は良い人ばかりでしたが清々しい話しでした。2016/10/19
イノ
45
直木賞受賞後の第1作として期待して読んだが、想像以上に素晴らしく、読後の感動に暫く浸ってしまった。己の持てる力の全てを注ぎ込む事の励み場を求めて葛藤する若夫婦のそれぞれの目線で、人生とは、家族とは、と問いかけられるようでのめり込んでしまった。後半の真実と展開のスピード感は圧倒的だった。2017/12/17
あすか
29
互いを大事に思っているからこそのすれ違いが1番哀しい。2人を縛り続けてきた「名子」という存在は重いものだが、「識る」ということでこんなにも自由になれるのか。希望を見た気がします。2021/05/16
kawa
29
江戸時代、生活が立ち居か無くなったりで農民になった武家の家来たちは、名子(なご)と称され小作人以下の扱いを受けていたと言う。本作は名子である主人公とその妻が武家を目指す夫婦の物語。地味なテーマながら、その時代の役所の様子等興味深く読める。最後の締めは、妻の物語は暖かく、夫の物語は自己の進退を自ら決し美しく鮮やかに盛り上がる。2017/12/24
わむう
29
若くして元締手代となった信郎だが、本当の励み場は真の武家になることだと思い、妻である智恵と共に江戸に出る。視察に向かった村で偉大だったが村人たちに理解されずに亡くなってしまった勘三の存在を知り、その人物の仕事こそが自分の目指す励み場ではないかという真実に気づく。たくさん言葉を交わさない夫婦だが互いを想いあう夫婦愛が素晴らしい。最後のページを読んで、この夫婦のこれからの幸せと愛に羨ましくなりました。2016/10/07
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