内容説明
仕事に疲れたベテラン放送作家が、ある日、封印されていた父の「秘密」に触れ…。リリカルな筆致が、過去の悔いや無念さえも温かな光で包みこむ、感動の人間ドラマ。
著者等紹介
増山実[マスヤマミノル]
1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。出版社に3年間勤務後、放送作家に。放送作家としては、関西の人気番組「ビーバップ!ハイヒール」(朝日放送系)のチーフ構成などを担当。2012年、「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補。同作を改題した『勇者たちへの伝言―いつの日か来た道』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
221
昭和40年代半ば、誰もが 野球に熱中していた時代が 確かにあった。巨人が 圧倒的に強かった時代に、 関西の神戸地区には 阪神以外に、阪急ブレーブスと いう球団があり、強かった …この本は工藤正秋とその父の 阪急にまつわる物語である。 そして、まだ差別意識が色濃かった 時代の日韓の恋の物語である。 父が語ろうとしない過去… 李安子さんとの思い出。過去を フラッシュバックさせながら、 時折登場させる阪急の往年の 名プレーヤーたち。 ひどく郷愁に溢れたよい物語だった。2014/07/06
おしゃべりメガネ
201
思っていたような作風ではなく、完全にいい意味でひっくり返された素晴らしい作品に出会えました。装丁から想像していたのは、古き良きノスタルジーな野球と親子愛みたいなのかなと思っていたのですが、まさかまさかのタイムトラベル的な展開で和製『フィールド・オブ・ドリームス』を彷彿させてくれます。作中に北朝鮮での記述が多くを占めますが、胸が締め付けられる思いで、なかなか先へ読み進めることができませんでした。野球は【阪急ブレーブス】がメインですが、野球を知らなくても十分に楽しむことができ、それ以上に感動できる作品です。2016/02/27
ゆみねこ
83
増山さん、初読み。とても上質な大人のファンタジー。阪急ブレーブスと北朝鮮への帰国者。ラストのラジオ放送のシーンで涙。今もあの国で深夜に周波数を合わせて必死に放送に耳を傾けている人がいるのだと思います。拉致被害者・騙されて帰国した人々、彼らに救いの手を。2016/05/07
それいゆ
81
西宮北口は学生時代に毎日乗り換えで利用した駅です。阪急対近鉄の試合を見に行ったのも今だによく覚えています。山口高志と鈴木啓司の投げ合いはすごかった。この作品は、まさかの北朝鮮帰国者の脱北という展開に、後半部分は怒涛の一気読みとなりました。今、北朝鮮に留まったまま悲惨な状況に置かれている帰国者の皆さん、そして拉致されたままの人たちが一刻も早く日本へ帰国できるよう願っています。さらわれた人たちの奪還こそ最優先政治課題だと思います。五輪開催なんか放ったらかしにしてもやるべきことです。2016/04/28
そうたそ
45
★★★★☆ 放送作家という経歴があるとはいえ、作家としてのデビュー作であることには違いないこの作品。第一作とは思えないクオリティで、時間を忘れて読み耽ってしまった。日本人が北朝鮮に拉致された過去は幾度と無く報道等で耳にしたが、在日朝鮮人が詐欺紛いの甘言に騙され北朝鮮へと連れ戻された事実は恥ずかしながら全く知らなかった。とにかく厳しく辛い事実に心が痛む一方、一度は絶望に追い込まれたものの、それでも必死に力強く生き切った安子さんの姿には胸を打たれた。最後の奇跡とも思える展開には感動するばかり。2015/01/18
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