内容説明
一念天に通ず。義勇兵の少年の放った一矢は、十数万の敵兵を怯えさせ、窮地の戦局をも動かした―。数々の英雄譚を残し、後世に語り継がれる武将。その栄光と悲運の生涯を描く、中国歴史小説。
著者等紹介
塚本青史[ツカモトセイシ]
1949年倉敷市生まれ。同志社大学卒業。イラストレーターとして活躍の後、96年長篇小説『霍去病』を発表して注目を浴びる。以後、中国歴史小説『白起』『呂后』、現代ミステリー『水無月祓』『業平の窓』を意欲的に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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R
16
漢の時代に飛将軍と異民族に恐れられた男、李広の生涯を描いた小説でした。秦の時代に活躍した李信の末裔にあたるという血筋で、若くして将軍としての成功を収めるものの、その後より優れた将軍が出てきて、だんだんと落ちぶれていってしまうと、なんとも読んでいると切ないことこの上ない物語。さりとて、自分の限界を知りつつも将軍として、その矜持を胸に生きたという姿がかっこよく、凄まじい英雄とはいえないものの、好漢であったろうと思える内容でした。2018/06/20
鐵太郎
10
李広(り・こう BC190?-BC119)とは、前漢の文帝・景帝・武帝に仕えた武将です。秦の名将・李信の子孫(曾孫)であり、武門の家系といえます。もう少し早い、風雲の時代に生まれていればどれだけの人物になったであろう、といわれた知将。こんな武将の一生を、塚本さんはどう描いたのか。若い頃からの姿、戦場での恐れと自信、愛妻となる女との出会いと何とも不器用なプロポーズ、慣れない宮廷暮らしや権謀術数の中で当惑する姿、若い才能を暖かく見守り敬意を払う人の良さ、無器用な生き方と彼の生涯を終わらせた悲運。なるほどねぇ。2010/07/08
星落秋風五丈原
6
一念天に通ず。義勇兵の少年の放った一矢は、十数万の敵兵を怯えさせ、窮地の戦局をも動かした―。 数々の英雄譚を残し、後世に語り継がれる武将。その栄光と悲運の生涯を描く、中国歴史小説。2009/12/31
maito/まいと
3
飛将軍と呼ばれ恐れられた李広を描いた1冊。 北方史記を読んでからこの1冊を読むと、切なさが一層増してくる。往年の活躍と新しい世代と手法の台頭・・・仕方のないこととはいえ晩年になって報われない軍人の悲しさがまざまざと描かれていて悲しくなってしまった。最後まできちんと生き抜く、その難しさを感じずにはいられない。。。2009/12/12
空太
2
将軍への出世コースを行ってたはずなのに…どうしてこうなった…。まさしく生まれた時代を間違えた男。北方史記を読んでからこれを読むと霍去病の印象がガラッとかわった2012/10/06