内容説明
南アルプスと八ヶ岳にはさまれた村に生まれ、山の中で山とともに生きるロッタこと、六田賢司。地元の人間たちからは疎まれていたが、ロッタは妻の亜希と、猟犬のシオたちとともに、つつましく幸せな生活をおくっていた。だが、そんなささやかな平和は、長く続かなかった。新聞記者であるロッタの兄、洋一郎が、ロッタの住む村で行われている、産業廃棄物の不法投棄をスクープしたことが引き金となり、地元のヤクザたちから狙われることになってしまう。兄、亜希、そして家族同然の猟犬たちが、次々と不条理な暴力の渦に巻き込まれていき、ロッタは復讐のために武器を手にとり、戦いに挑んでいくのだが―。冬の山を舞台に描かれた、圧倒的な迫力のノンストップエンターテインメント。各誌紙で大絶賛された前作『狼は瞑らない』をも凌ぐ、渾身の書き下ろし。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年山口県生まれ。南アルプスの麓で、釣りと野良仕事のかたわら、冒険小説の執筆にいそしむ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Rin
23
【図書館】猟師ロッタとパートナードッグである狼犬シオの壮絶な戦い。その勢いと自然を体感できる描写に飲み込まれそうでした。自然の恐ろしさもだけど、人によって失われて汚されていく姿もリアルでした。純粋に己に厳しいルールを課しているロッタの、自然は生きていくために必要なもの。その言葉が心に染み入ります。そして、シオと心を通わせお互いに信頼し合う姿に最後は涙が込み上げてきました。そして、自然と山と触れ合いたくなる本でした。2014/11/02
ichi
21
【図書館本】実際にはありえない設定でしたが、こんなにも銃で人の殺し合いがあっていいものか?と思いながらの読了。最後はまぁハッピーエンドとなったので、そこはよかったです。ロッタのように正義を貫く人間性は主人公にもってこいですね。2017/10/14
shelly
16
心から感動。樋口作品に再び深い感動を覚えた。全体に流れる主人公ロッタの純粋な心。静かに始まる物語は、その妻亜希との出会いの辺りから一気に盛り上がり、亜希の辛い過去、ロッタの優しさ、純粋さ故の激しさに何度も涙が溢れた。『十の不幸があっても、たったひとつの小さな幸せを見つけただけで、生きていて良かったと、そう思えるような人であってほしい』『人が人を信じる。当たり前のことが、いまでは希有になっている』『人が人を許すことはとても意味がある』人が死にすぎる嫌いはあるが、樋口さんは人を愛してやまない作家なのだと思う。2013/03/26
まぁにぃ
14
日本版「ランボー」なのか「ダイハード」なのか? って一見思ってしまう。 さすが日本の作家は違う。 ここに「人を許すこと」や、「山の神」という目に見えない存在が現れる。 人間と犬、心の絆が感動を作り出す。 後半は一気に読み進めた。 人間の表と裏、清らかさと邪悪さがちりばめられた良き本でした。2017/06/15
ichi
12
【図書館本】再読。差別され生き続けてきたロッタといじめに遭い、辛い思いしかしてこなかった亜希の希望が見えた結末でホッとした。2022/07/07