出版社内容情報
《内容》 腎疾患の“早期診断”“早期治療”を実践するためにはどうしたらよいかを柱とし,診断の進め方や治療方針の立て方,治療の実際を解説する腎臓内科診療の実用書。
《目次》
腎疾患の早期発見とその対策
I 腎疾患のとらえ方
腎疾患の分類と考え方
病因論的な分類/病変の主座による分類/原発性か続発性か分類
機能と症候による分類と考え方
腎機能による分類/症状・検査所見による分類
糸球体疾患の形態学的な分類と考え方
糸球体の構造と特徴/変化のない場合/変化のある場合/独立した疾患概念としての原発性糸球体疾患/糸球体疾患と免疫複合体沈着
II 腎疾患の早期発見のために何をすべきか
◆病歴聴取のポイント
病歴聴取の基本姿勢
どこから腎疾患を疑うのか
主要な症候/服薬歴/既往歴・家族歴
さらに何を聴取するか
◆身体所見のポイント
診察時のチェックポイント
症状から腎疾患へのアプローチ
体重/高血圧/発熱/扁桃腫大/浮腫/皮膚症状/腹部血管雑音/消化器症状/その他
◆尿検査を見るポイント
採尿と検尿の基本
採尿方法/検尿の方法
尿の外観と色調とその異常
尿混濁/尿色調異常
尿比重とその異常
尿pHとその異常
血尿
血尿と血潜血反応/血尿の原因による分類
蛋白尿
尿蛋白の検出法/蛋白尿の分類
尿糖
尿沈渣
赤血球/白血球/上皮細胞/円柱/結晶
尿中酵素
◆血液生化学を見るポイント
血清クレアチニン/尿素窒素/尿酸/総蛋白および蛋白分画/電解質/血中脂質/血清鉄,総鉄結合能,フェリチン,エリスロポエチン
◆画像診断のポイント
腎疾患における画像診断の進歩と役割
腎疾患診断のためのモダリティ
腹部単純写真とその位置づけ/静脈性腎盂造影(intravenous pyelography;IP)/超音波検査(ultrasonography;US)/computed tomography(CT)/MR Imaging(MRI)およびMR urography(MRU)/血管造影(angiography)/核医学検査法(radioisotope:RI検査)
徴候からみた画像診断の選択
背部痛を伴う血尿/無症候性血尿/多尿/無尿/膿尿/浮腫/高血圧
主要疾患の画像診断
先天性疾患/炎症性腎疾患/腎腫瘤性病変/腎血管性病変/腎・尿路結石/水腎症
◆腎専門医への紹介のタイミング
尿所見の異常を認めたとき
蛋白尿単独の場合/血尿+蛋白尿の場合/血尿が単独の場合
腎専門医への至急紹介
おわりに
◆腎生検はどのような場合に行うか
腎生検の適応
血尿/蛋白尿/ネフローゼ症候群/急性腎炎症候群/急速進行性糸球体腎炎/慢性腎炎症候群/急性腎不全/慢性腎不全
腎生検の禁忌
腎生検の実際
腎生検法の種類/腎生検の合併症
III 腎疾患早期発見における学校検尿の意義
川崎市学校検尿のスクリーニング方法
第1次,第2次検査/第3次検査
診断確定のための検査法
診断確定のための特殊な血液検査/腎機能検査
腎生検による病理組織検査
川崎市24年間の学校検尿のまとめ
おわりに
IV 当面の治療方針をどうたてるか
プライマリケアのポイントと専門医への紹介のタイミング
◆蛋白尿と血尿が主体の場合
尿検査(試験紙法)における注意点
蛋白尿・血尿の診断アプローチ
問診/診察/ルーチンで行う検査
蛋白尿の診断
血尿の診断
腎臓専門医に送る蛋白尿・血尿
持続性血尿・蛋白尿の管理と指導
◆腎機能障害を伴う場合
腎機能障害の原因検索
病歴/尿検査,血液検査/画像診断
プライマリケアのポイントと専門医への紹介のタイミング
急速進行性腎炎症候群/急性腎不全/慢性腎不全
◆大量の蛋白尿・浮腫を伴う場合
問診のポイント
発症年齢/発症様式からの鑑別
身体所見のポイント
検査所見のポイント
尿検査/血液・生化学検査/免疫学的検査/細菌学的,ウイルス学的検査/悪性腫瘍の検索
腎生検の適応とタイミング
専門医への紹介のタイミング
確定診断後の治療,管理
◆高血圧を伴う場合
高血圧と腎疾患
腎実質性高血圧/腎血管性高血圧/高血圧性腎障害
腎障害に高血圧を認めた場合の治療
降圧目標/食事療法/降圧薬の選択
疾患ごとの高血圧の治療
糸球体腎炎/多発性嚢胞腎の高血圧/糖尿病性腎症/腎血管性高血圧/腎硬化症
◆糖尿病を合併している場合
糖尿病に合併する腎障害
糖尿病性腎症/糖尿病性腎症以外の腎障害
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症の病期分類/糖尿病性腎症の早期診断/糖尿病性腎症の治療方針
腎生検による診断を治療に生かすためのポイント
◆無症候性蛋白尿・無症候性血尿
微小糸球体病変(minor glomerular abnormalities)
メサンギウム増殖性糸球体腎炎(mesangial proliferative glomerulonephritis)
IgA腎症(IgA nephropathy)
組織診断を無症候性血尿・蛋白尿の治療に生かすための基本方針
◆慢性腎炎症候群
腎生検組織診断と治療法
原発性糸球体疾患/二次性糸球体疾患
◆ネフローゼ症候群
対症療法
腎生検による診断を治療に生かすためのポイント
微小変化型ネフローゼ症候群/膜性腎症/糖尿病性腎症/ループス腎炎
◆急速進行性腎炎症候群
分類
診断
臨床診断/腎病理組織学的診断/重症度および予後
腎生検の診断に基づいた治療
抗GBM抗体型/puci-immune型/免疫複合体型
将来期待される治療
◆急性腎炎症候群
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
臨床所見/鑑別診断/治療
非溶連菌感染後急性糸球体腎炎
心内膜炎/シャント腎炎/深部膿瘍/MRSA関連糸球体腎炎
◆間質,尿細管,血管の障害
尿細管間質障害
急性尿細管間質性腎炎/慢性尿細管間質性腎炎
腎硬化症
良性腎硬化症/悪性腎硬化症
初期治療における薬物療法のポイント
◆基本的な薬剤
副腎皮質ステロイド
免疫抑制薬
抗血小板薬・抗凝固薬
降圧薬
カルシウムチャンネルブロッカー(CCB)/交感神経作動薬/ACE阻害薬(ACE inhibitor:ACEI)/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
利尿薬
漢方薬
クレメジン
炭酸水素ナトリウム
沈降炭酸カルシウム,塩酸セベラマー
活性型ビタミンD
尿酸生成抑制薬
◆腎炎治療における薬物使用での注意点
慢性糸球体腎炎治療に用いられる薬物の注意点
副腎皮質ステロイド薬
免疫抑制薬
シクロスポリン(CyA)(ネオーラルR)/シクロホスファミド(CP)(エンドキサンR)/アザチオプリン(イムランR)/ミゾリビン(ブレディニンR)
抗血小板薬
ジピリダモール(ペルサンチンR)/塩酸ジラセフ(コメリアンR)/エコサペント酸エチル(EPA)(エパデールR)
抗凝固薬
ワーファリン/ヘパリンナトリウム(低分子ヘパリン)
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)・アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
高脂血症治療薬
ループ利尿薬
使用上の注意点/副作用の注意点
腎障害時に注意を要する薬剤
抗菌薬
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)
造影剤
V 長期的視野に立った治療計画をどうたてるか
腎疾患の悪化要因を取り除くために何をすべきか
◆全身の一部としての腎臓
加齢による腎臓の機能的変化
高血圧と腎障害
全身性疾患と腎障害
薬剤と腎障害
妊娠と腎臓
妊娠による形態的および機能的変化/妊娠中毒症/腎炎合併妊娠
◆蛋白尿
尿蛋白により腎障害が進行する機序
glomerular-interstitial relationship/補体系の活性化/血管作動性物質および炎症惹起分子の活性化
蛋白尿と腎障害の関連を裏付ける臨床研究
蛋白尿排泄量と腎機能の予後との関連/降圧薬により尿蛋白排泄量を減少させることの重要性
◆高血圧
糸球体高血圧と腎機能障害
糸球体内圧の生理的調節/糸球体高血圧の機序/糸球体高血圧により腎障害が進行するメカニズム/糸球体高血圧の治療
腎保護作用を考慮した降圧療法
降圧薬の特長/腎障害に対し降圧薬を用いる際のポイント
◆高脂血症
ネフローゼ症候群(慢性糸球体腎炎含む)
高脂血症の特徴/治療対策
慢性腎不全(chronic renal failure;CRF)
高脂血症の特徴/治療対策
糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)
高脂血症の特徴/治療対策
◆肥満・耐糖能異常・糖尿病
肥満
肥満の定義/治療法
耐糖能異常・糖尿病
糖尿病の概念/腎症増悪因子
まとめ
◆高尿酸血症
概念,分類
急性尿酸性腎症
病因・診断/予防・治療
高尿酸性腎症(痛風腎を中心に)
病因/病態/診断と鑑別診断/治療と予後
その他の腎疾患との関わり
患者教育をどのように行うか
◆腎疾患の食事療法
保存期腎不全時の食事療法
食事療法時に念頭におかねばならないこと/保存期腎不全での食事療法の目的/食事療法開始にあたって/食事療法の開始/対象となる症例は/どのような食事療法を行うか/何を指標に指導するか/食事療法の中止
その他の腎疾患時の食事療法
急性腎炎症候群/慢性腎炎症候群等の腎機能正常~軽度低下群/ネフローゼ症候群/急性腎不全
◆日常生活全般
生活管理に対する考え方の基本
生活指導区分
腎疾患の生活指導例
◆妊娠
妊娠経過中の腎機能の推移
専門医へ送るタイミング
妊娠高血圧
ポイント
腎疾患を有する妊娠に関して
妊娠に与える腎炎の影響
ループス腎炎の妊娠
VI 腎疾患の進行と扁桃―扁桃摘出の適応と長期効果―
扁桃病巣感染症とIgA腎症
扁桃の解剖と生理
IgA腎症と扁桃との関係
IgA腎症に対する扁摘の適応決定と長期予後
IgA腎症に対する扁摘の効果