出版社内容情報
《内容》 2004年1月に行われたフォーラム「新世紀の消化器癌外科治療」講演の書き下ろし。大腸癌・炎症性腸疾患の最新治療を各分野の専門医が図表を多用しわかりやすく解説。
《目次》
[炎症性腸疾患]
炎症性腸疾患に対する新治療戦略 鈴木康夫
炎症性腸疾患とは
現行の炎症性腸疾患治療戦略と問題点
炎症性腸疾患の病態と治療戦略
免疫抑制剤治療Azatiopurine(AZP)と6-merucaputepurine(6-MP)
免疫抑制剤治療Cyclosporin-A(CsA)持続静注療法
早期Cyclosporin-A(CsA)持続静注療法
白血球顆粒球吸着除去療法(LCAP,GCAP)
クローン病における抗TNF-α抗体(Infliximab)療法
潰瘍性大腸炎外科治療の変遷と臨床成績 山村武平ほか
機能温存大腸全摘・回腸肛門吻合術の歴史
兵庫医科大学第2外科における潰瘍性大腸炎手術に対する手術戦略の変遷と手技上の工夫 教室の潰瘍性大腸炎手術症例と臨床成績
潰瘍性大腸炎の癌化(Colitic Cancer)およびDysplasia症例
新世紀の潰瘍性大腸炎外科治療-Challenging Problem-
[大腸癌]
大腸癌の分子標的の探索 鉄 治
エピローグ
分子標的治療とは何だろう
分子標的治療薬は何を標的にしたらよいのだろう
ボーゲルグラムとは何だろう
マップキナーゼシグナル伝達経路とは何だろう
マップキナーゼシグナル伝達経路遮断薬は大腸癌で臨床治験が行われている
メック遮断薬は大腸癌細胞を細胞周期のG1期で止める
G1期からS期への移行はどのように行われているのだろう
メック遮断薬U0126はサイクリンD1,D3,CDK4,p21 Cip1の発現を抑制しCDK4キナーゼ活性を消失させる
p15 Ink4bとp16 Ink4aはCDK4とCDK2の両方のキナーゼ活性を同時に抑制する
メック遮断薬U0126はCDK4/6とCDK2キナーゼ活性の両方を同時に抑制する
U0126によるG1期増殖停止にはCDK4/6とCDK2のキナーゼ活性抑制のどちらがより重要なのだろうか
p27 Kip1を過剰発現させても大腸癌細胞の増殖停止は起きない
CDK4/6阻害剤AG12275はp27 Kip1をCDK2に再配置することなしに大腸癌細胞をG1期で増殖停止させる
p27 Kip1タンパクはU0126による大腸癌細胞の増殖停止に寄与しない
CDK2キナーゼ活性を抑制しても大腸癌細胞は増殖する
大腸癌細胞はCDK2のキナーゼ活性がなくても増殖する
大腸癌細胞ではCDK4キナーゼ活性がCDK2キナーゼ活性の必要性を補完する
まとめ-G1期からS期への移行の新しいモデル
プロローグ-CDK2キナーゼ活性はわれわれの一生に必要ないのであろうか
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC) 菅野康吉
はじめに
Cancer Family Syndrome(Lynch症候群)とHNPCC
HNPCCの臨床像と診断基準
マイクロサテライト不安定性とHNPCCの原因遺伝子
HNPCCにおける癌化のメカニズム
HNPCCの遺伝子診断
HNPCCの遺伝カウンセリング
HNPCCの予防と治療
おわりに
直腸癌の放射線治療 山下 孝ほか
直腸癌治療の目標
直腸癌治療の歴史
手術術式の変遷
直腸癌の治療方針
下部進行直腸癌の治療スケジュール
癌研病院での術前照射の経験
骨盤部の照射方法とその効果と副作用
術前照射と術後照射の比較
直腸癌術前照射の今後の課題―患者さんから訴えられないために
切除不能癌,再発癌への放射線治療
終わりに-集学的治療法の確立
直腸癌局所再発に対する重粒子線治療 山田 滋ほか
重粒子線(重イオン線)の特徴
重粒子線治療
再発直腸癌
総括
超低位直腸進行癌における肛門機能温存の試み 齋藤典男ほか
下部直腸進行癌における手術法の現状
なぜAPRが必要となるか?
肛門・肛門管の解剖と切除線
切除標本を用いた検討(肛門癌は除く)
肛門括約筋部分温存の各術式と適応
実施症例
本術式における予後について
術後排便機能について
実際の手術手技について
腸疾患に対する内視鏡外科 渡邊昌彦
port site recurrence
安全性・低侵襲性
長期予後
大腸癌に対する腹腔鏡下手術-後腹膜アプローチ法とその成績 山田英夫
要旨
はじめに
対象および方法
結果
腹腔鏡下大腸切除講習会
考察
まとめ
大腸癌肝転移に対する集学的治療 森 武生
はじめに
再発例の予後
肝転移治療のフローチャート
肝切除の成績
非切除例および動注後切除例の成績
肝転移の多数例解析によるstage分類
考察
大腸癌肝転移の外科治療 有井滋樹ほか
はじめに
外科治療成績
切除率を高めるための工夫
肝切除の実際
非系統的切除に対する考え
現在の課題