感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
107
興味深い発生学の講義の後、不妊女性が太古の昔から現代に至るまで背負ってきた深い悲しみが訥々と語られる。不妊カップルに対する精神的社会的サポートの希薄さを指摘しつつLGBTQ理解の拡まりに繋がる「遺伝的に繋がった家族」ではない新・家族像へ寛容になるべき時代の到来が説かれる。今年4月より不妊治療は保険診療となる。いち産婦人科医として「産みたい」という願望は「生きたい」に匹敵すると感じる。晩婚化高齢出産の時代、その願望を健全たらしめるため医療者も患者も相応の知識と覚悟、そして寛容さを要するのだと認識した。2022/01/15
zoe
22
Fear, Wonder, and Science in the New Age of Reproductive Biotechnology (2017). 科学としても、哲学としても、今がどのような状況にあるのか、よく理解できます。キャリアが始まる前に若者は、人生をどのように選択するにしても、機会損失をしないための知っておく知識だと感じました。色々な視点で論じられているので、この「機会」も一点ではないです。全体的に優しく、マスコミに勉強を促す調も感じました。2020/12/05
spatz
7
いのちのはじまり とはとても大きな概念。 単なる医学書のようなものではなく、倫理や哲学についても示唆に富み、また翻訳本であることから、考え方、例えば、読み手に共通の文化的背景、宗教的な考え方、も独特のものがある。言葉の使い方、何かを論ずる時のメタファーの使い方の重要性。 非常に内容の濃い本なので、物語のように一気に読み切るというタイプの本ではない気がする。必要な時に必要なところを時間をかけて噛み締めて読むもの。 https://www.netgalley.jp/catalog/book/2026102021/12/18