内容説明
従来の認知主義的アプローチに新たな視点を提供する。「Pさんのこと覚えてる?」と聞かれたとき、「うん覚えてるよ。」で会話が終わらず、他にも言いたくなるのはなぜか。本書では、自らや相手の記憶に言及するように見える、「忘れた」「覚えている」等の心的述語が、雑談において会話のジレンマに対応するために用いられることを明らかにする。記憶の心的述語が会話の中でどのように使用されるかを緻密に観察し、具体的な使用例を通じてその多様な使用法を記述する。「記憶概念の使用法を探求」する1冊。
目次
第1章 序論 記憶の言葉と行為
第2章 記憶現象の取り扱いの変遷
第3章 研究目的と分析対象・方法
第4章 会話の進行を調整する記憶のことば
第5章 同じことを示す記憶のことば
第6章 抵抗する記憶のことば
第7章 不可能を示す記憶のことば
第8章 結論 分析と記述からわかる記憶のことばの使い方
著者等紹介
千々岩宏晃[チヂイワヒロアキ]
1988年生まれ。京都橘大学文学部専任講師(日本語教育・会話分析)。ビナ・ヌサンタラ大学(インドネシア)講師、独立行政法人国際交流基金日本語指導助手(ブカレスト大学・ルーマニア)、京都橘大学発達教育学部助教を経て現職。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了。博士(日本語・日本文化)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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