内容説明
従来未解明であった問題に新たな解釈を提示。なぜ「春はあけぼの」章段は四段になるのか、跋文の「枕」はどこから来たのか、『枕草子』の感傷の美はどこにあるのか、前田家本に対する「楠説」は本当に正しいのか、といった疑問に新しい解釈を示す。唐代の重要な『賦譜』全文を翻刻。著者20年来の研鑽の集成。
目次
漢文の環境と『枕草子』の創生
第一部 『枕草子』の基層と漢文(『枕草子』「春はあけぼの」章段考―詩と賦の権威をめぐって;『枕草子』「心ときめきするもの」章段考―「唐鏡のすこし暗き、見たる」を中心に;『枕草子』「文は」章段考―「新賦」を中心に ほか)
第二部 『枕草子』と『白氏文集』(清少納言と白居易の詩的な寓意―「花や蝶や」と「萎花蝶飛去」;清少納言と白居易の詩的な意象―「柳・雨・稚児」と「眉・扇・塵」;清少納言と白居易及び元〓の詩的な手法―「蚊の細声・蚊の睫」と「微細・蚊睫」 ほか)
第三部 前田家本『枕草子』の本文と漢文(前田家本『枕草子』本文再検証―漢籍に由来する表現から見た楠説;前田家本『枕草子』本文の特徴―漢籍の原典から見た引用態度;前田家本『枕草子』「文は」章段再考―「こたいほんき」を中心に)
まとめと展望
附編 周作人訳『枕草子』の経緯と実態
著者等紹介
張培華[チャンペイホア]
中国出身、日本国籍。2001年安徽師範大学漢語言文学専攻卒業、2006年宮崎大学大学院修士課程修了、修士(教育学)。2012年総合研究大学院大学博士後期課程修了、博士(文学)。国文学研究資料館研究員を経て、現在日本女子大学研究員・非常勤講師。専門は中古文学、中国古典文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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