内容説明
難波地域は、古代にあっては、その時々の王権とさまざまに結びつく重要地域であった。このため、戦前から考古学・文献史学の双方から多くの研究が積み重ねられてきた伝統がある。本書では、文献史学の立場から、考古学的成果を十分に吸収しつつ、この地域を考えるための重要問題に新たな光を当てて再検討するとともに、これまで見過ごされてきた問題を掘り起こして考察した。難波屯倉の性格とその変遷、難波地域出土木簡とりわけ戊申年木簡の基礎的検討、難波長柄豊碕宮の造営と大化改新、複都制の否定と難波宮との関係、後期難波宮の国際性、摂津関の性格、播磨・西摂産材木と難波宮の造営、二つの難波市と相互関係、難波における荘の展開、難波真人高屋という謎の人物などである。また付編には、難波と深く関係する二つの地域に関する論考を収めた。海会寺を軸とする泉南地域、紀朝臣・紀国造紀直を中心とする紀伊である。
目次
前編 難波宮前史と前期難波宮の時代(難波屯倉と古代王権―難波長柄豊碕宮の前夜;難波宮跡北西部出土木簡の諸問題;難波宮跡北西部出土木簡再考;孝徳紀に見える諸宮―二段階造営説の再検討;天武天皇の複都制構想)
後編 後期難波宮の時代(「複都制」再考;聖武天皇の印南野行幸と難波宮の造営;古代における難波地域の性格;難波宮の造営と材木の供給;後期難波宮の内実 ほか)
付編 和泉と紀伊
著者等紹介
栄原永遠男[サカエハラトワオ]
東大寺史研究所所長・東大寺学術顧問、大阪歴史博物館名誉館長、大阪市立大学名誉教授、京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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