出版社内容情報
日本音楽史上の重要史料『教訓抄』『続教訓鈔』『春日楽書』などの中世成立楽書の基礎研究と翻刻を収める。音楽史ほかに豊かな成果。日本音楽史上の重要史料『教訓抄』『続教訓鈔』『春日楽書』ほか
中世成立楽書の基礎研究と翻刻を収録
『教訓抄』は古写本をはじめて網羅的に調査し、近世の写本との相違点を考察。今後は古写本によって研究されるべきことを提唱する。『続教訓鈔』は曼殊院本と日本古典全集本とを比較検討して古典全集本中の混入記事を明らかにする。また春日大社伝来の楽書(通称『春日楽書』)から、狛氏相伝の秘曲「陵王荒序」相伝の歴史を紐解く。日本音楽史はもとより文学、宗教などの隣接?分野に豊かな成果。
凡例
はじめに
第一部 『教訓抄』『続教訓鈔』の研究
第一章 『教訓抄』の古写本について
はじめに
諸本解題
1、宮内庁書陵部蔵本について
2、曼殊院蔵本について
3、井伊家旧蔵本について
4、国立公文書館内閣文庫蔵中御門家旧蔵本について
5、神田喜一郎旧蔵本について
おわりに
第二章 神田喜一郎旧蔵の『教訓抄』について
はじめに
一、神田喜一郎旧蔵本解題
1、書誌
2、内容
3、奥書
4、兼秋について
二、国立公文書館内閣文庫蔵中御門家旧蔵本との関係について
三、嘉禎四年・仁治二年の記事について
四、荒序の記録について
五、『羅陵王舞譜』紙背の荒序記録との関係について
1、『羅陵王舞譜』紙背の記事について
2、『羅陵王舞譜』と神田本に共通する「荒序」の記録について
3、『羅陵王舞譜』と神田本の関係
六、他本との比較 付、思想大系本の問題点
1、古写本の特徴と神田本
2、思想大系収録の翻刻について
3、江戸期の写本との比較
4、続群書類従・日本古典全集所収本について
5、古写本(宮内庁書陵部本)との異同について
七、神田本検証のまとめ
第三章 『続教訓鈔』の混入記事について その一―日本古典全集底本の伝来と曼殊院本―
はじめに
一、日本古典全集本の底本・校本について
二、古典全集本各冊の奥書の検討
1、第一冊奥書
2、第八冊奥書
3、第九冊奥書
4、第二冊奥書
5、第十一冊奥書
6、第十五冊奥書
7、第五冊奥書
8、第十冊奥書
9、第七冊奥書
10、第十六冊奥書
三、古典全集本と曼殊院本
第四章 『続教訓鈔』の混入記事について その二―曼殊院本と日本古典全集本の比較―
はじめに
一、曼殊院本に関する先行研究について
二、曼殊院本と古典全集本の比較・検討(一)
1、『続教訓鈔』巻十一上
2、『続教訓鈔』巻十一下
3、『続教訓鈔』巻二下
4、『続教訓鈔』巻四上
5、『続教訓鈔』巻次未詳の巻
三、曼殊院本と古典全集本の比較・検討(二)
1、『教訓抄』巻二
2、『教訓抄』巻三
3、『教訓抄』巻七
四、曼殊院本と古典全集本の比較・検討(三)
1、『宮寺恒例神事八幡宮次第略記』
2、『豊原信秋日記』応安七年
五、曼殊院本と古典全集本の比較・検討(四)
1、佚名楽書(1)(「有安注進諸楽譜」)
2、佚名楽書(2)(「某抄鈔」)
3、佚名楽書(3)(「律呂弁天地四方声」)
六、曼殊院本と古典全集本の比較・検討(五) 付、古典全集本に見えない記事について
1、『尋問鈔』上下
2、建久四年、豊原利秋奥書『笙譜』
3、笙譜「下無調渡物」以下
4、『明徳五年常楽会日記』(豊原量秋記)
5、明徳元年・同三年仮名具注暦
6、消息
付、曼殊院本に見えない『続教訓鈔』巻二十二について
おわりに
曼殊院本『続教訓鈔』写真
第二部 『春日楽書』の研究
第一章 春日大社蔵『舞楽古記』概論
はじめに
一、諸本解題
1、春日大社蔵『舞楽古記』
2、国立公文書館内閣文庫蔵紅葉山文庫旧蔵『荒序記』
3、国文学研究資料館寄託田安徳川家蔵『荒序記』
4、上野学園大学日本音楽史研究所蔵窪家旧蔵『荒序旧記』
二、諸本の異同について
1、春日本と内閣文庫本の異同について
2、窪家本の異同について
三、『羅陵王舞譜』裏書との関係について
1、『羅陵王舞譜』との比較
2、『古記』の異同と独自の記事から
四、「荒序」の記録の記主・成立について
1、「私所荒序舞記」について
2、「荒序旧記」について
3、真葛の記録について
4、季真の記録について
五、まとめと今後の課題
第二章 『舞楽手記』諸本考
はじめに
一、先行研究について
二、春日大社所蔵『舞楽手記』解題
1、書誌
2、内容
(1)本文(オモテ)
(2)紙背
3、まとめ
三、『舞楽手記』の諸本について
1、オモテに対応するとされる伝本
(1)国立公文書館内閣文庫蔵『荒序譜(二)』
(2)国文学研究資料館寄託田安徳川家蔵『荒序譜(二)』
(3)宮城県図書館伊達文庫蔵『荒序譜(二)』
2、紙背に対応するとされる伝本
(1)国立公文書館内閣文庫蔵紅葉山文庫旧蔵『荒序譜(一)』及び『舞曲譜(一)』
(2)国文学研究資料館寄託田安徳川家蔵『荒序譜(一)』及び『舞曲譜(一)』
(3)宮城県図書館伊達文庫蔵『荒序譜(一)』及び『舞曲譜(一)』
(4)上野学園大学日本音楽史研究所蔵窪家旧蔵『舞譜』
四、春日本と諸本の関係について
1、オモテについて
2、紙背について
五、豊氏本家蔵本について
1、豊氏本家蔵『荒序舞譜』
2、豊氏本家蔵『荒序』
3、まとめ
六、本稿のまとめ
第三章 『舞楽手記』筆者・成立考 その一 付、春日大社蔵『楽所補任』の筆者について
はじめに
一、跋文について
二、跋文一について
1、「故判官近真去正月廿五日早世之後者陵王荒序事披譜〓向テ春福并光葛等授読様了一向沙汰之」(〓は口卒)
2、「於本譜ニ者成春福分ニ畢」
3、「大事文書等置所以外無四度計之間或火事或盗人旁有其恐之間書出イタス此秘譜ヲ写本者故判官自筆也少分ハ予書之」
4、「乱序之中大膝巻以前者不書之人皆知及之故也入破初帖又以不書之於其外秘譜ニ者為令不絶当曲ヲ以方便ヲ書写之ヲ」
5、「聖宣死亡之後者可遣春福之許ヘ穴賢々」
三、「故判官蒙勅許事」について
四、本章のまとめ 付、春日大社蔵『楽所補任』の筆者について
第四章 『舞楽手記』筆者・成立考 その二―跋文二の解釈と、狛近真以後の荒序継承について―
はじめに
一、跋文二と先行研究
二、跋文二の解釈
三、近真没後の荒序の継承について
おわりに
第三部 資料翻刻
凡例
一、井伊家旧蔵『教訓抄』巻第四(彦根城博物館所蔵) 翻刻
二、中御門家旧蔵『教訓抄』巻第十(国立公文書館内閣文庫所蔵〔打物譜〕) 翻刻
三、神田喜一郎旧蔵『教訓抄』巻第十(京都国立博物館所蔵) 翻刻
四、『舞楽手記』(奈良県春日大社所蔵『春日楽書』のうち) 翻刻
おわりに―今後の課題と展望―
一、『教訓抄』について
1、古写本について
2、近世以降の写本について
3、編者狛近真について
4、成立の背景について
5、先行の楽書について
6、後代への影響について
二、『続教訓鈔』について
三、『春日楽書』について
索引〔人名・書名〕
神田 邦彦[カンダ クニヒコ]
二松学舎大学大学院博士後期課程修了。
博士(文学)。
専攻は、中世文学、説話文学、日本音楽史。
現在、二松学舎大学文学部非常勤講師。
単著 『山鹿文庫本発心集―影印と翻刻、付解題―』新典社、2016年6月。
最新論文 「狛近真の陵王荒序相伝―荒序秘曲化の時期と背景の再検討に向けて―」、「藝能史研究」214号、藝能史研究会、2016年7月。
内容説明
日本音楽史上の重要史料『教訓抄』『続教訓鈔』『春日楽書』ほか中世成立楽書の基礎研究と翻刻を収録。『教訓抄』は古写本をはじめて網羅的に調査し、近世の写本との相違点を考察。今後は古写本によって研究されるべきことを提唱する。『続教訓鈔』は曼殊院本と日本古典全集本とを比較検討して古典全集本中の混入記事を明らかにする。また春日大社伝来の楽書(通称『春日楽書』)から、狛氏相伝の秘曲「陵王荒序」相伝の歴史を紐解く。
目次
第1部 『教訓抄』『続教訓鈔』の研究(『教訓抄』の古写本について;神田喜一郎旧蔵の『教訓抄』について;『続教訓鈔』の混入記事について その一―日本古典全集底本の伝来と曼殊院本;『続教訓鈔』の混入記事について その二―曼殊院本と日本古典全集本の比較)
第2部 『春日楽書』研究(春日大社蔵『舞楽古記』概論;『舞楽手記』諸本考;『舞楽手記』筆者・成立考 その一 付、春日大社蔵『楽所補任』の筆者について;『舞楽手記』筆者・成立考 その二―跋文二の解釈と、狛近真以後の荒序継承について)
第3部 資料翻刻
著者等紹介
神田邦彦[カンダクニヒコ]
二松学舎大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は、中世文学、説話文学、日本音楽史。現在、二松学舎大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 青春、手遅れ