内容説明
初期短篇群から『深い河』まで、主要作品16篇を軸に、遠藤文学の世界をその全体像として考察。日本的風土の深層とキリスト教との相剋。語り出される“愛の原像”。グローバルな“和解”をめざす遠藤文学の現代性と世界性。死者と生者の域を越えて、そのビジョンと想像力は、どのような“いのちのかたち”を描くのか。前著の構成を大幅に改編し増補した遠藤研究の集大成。
目次
序論にかえて―“文学と死”をめぐる問い
小説家遠藤周作の誕生―『アデンまで』から『青い小さな葡萄』まで
二つの風土―『黄色い人』
虚無の淵から―『海と毒薬』
聖性と罪性―『おバカさん』
想像力の始原―『わたしが・棄てた・女』の定位をめぐって
甦る“風景”―『わたしが・棄てた・女』
異邦人の孤独―『留学』
地上の哀しさ―『哀歌』
“闇”の言説―『哀歌』再論
煙はなぜ、黄昏の空に真直にたちのぼるのか。―『満潮の時刻』
和解の物語―『沈黙』
同伴者イエス―『死海のほとり』
沸騰する文体―『死海のほとり』再論
“事実”と“真実”の間―『イエスの生涯』
回帰への旅程―『侍』
悪という深淵―『スキャンダル』
“愛”の言説―『深い河』の実験
日本人につかめるイエス像―『沈黙』から『侍』まで
ある躊躇と疑念―『侍』瞥見
著者等紹介
川島秀一[カワシマヒデカズ]
1949年、奈良県生まれ。関西学院大学大学院博士課程満期退学。山梨英和短期大学教授を経て、2002年山梨英和大学教授。2013年3月、山梨英和大学教授を定年退職。現在は、大阪成蹊短期大学特任教授。遠藤周作学会副代表、島崎藤村学会理事、日本キリスト教文学会役員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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