内容説明
デタッチメントからコミットメントへ、「記憶」と「歴史」が接合させるとき、春樹テクストはどこに向かうのか?境界を超える春樹は、グローバリズムに対してどのようなポジションを取るのか?応答責任を負うべき春樹の読者とは、「誰」なのか?「大きな物語」が衰退し「小さな物語」の乱立する現在、“小説”の可能性はあるのか?―社会現象となった村上春樹の仕事を、「記憶」「拠点」「レスポンシビリティ」の観点から問うたシンポジウムと、それに応答した13篇の論考を収録。巻末に村上春樹出版年譜を付す。
目次
第1部 シンポジウム「村上春樹と小説の現在―記憶・拠点・レスポンシビリティ」(ポストモダン・ローカリティ―村上春樹の「開かれた焦点」とその主題化;村上春樹は世界文学か日本文学か―近代化過程と文学の表現をめぐって;「正しさ」の村上春樹論的転回;ピンポンと弑逆。小説について考えるときに読者が考えること;全体討議)
第2部 村上春樹から“小説の現在”を考える(村上春樹とポピュリズム、その不確かな壁;村上春樹と“小説の現在”―やがて“過去”に繰り込まれる“現在”を悼んで;村上春樹の「王殺し」;記憶の物語/時間のレトリック―村上春樹の1Q80年代;「羊男」の描写と「歴史」の現前について―『羊をめぐる冒険』と海外小説・映画の関係から ほか)