内容説明
「浦島太郎」と「一寸法師」の最終場面に登場する「玉手箱」と「打出の小槌」―この二つの小道具は、それぞれの話を締め括る重要な働きをしている。玉手箱は、浦島太郎を一瞬で年寄らせ、乙姫様との絶縁を完遂させる。打出の小槌は、一寸法師の背を引き伸ばしお姫様と結ばれる条件を整える。しかし、これらの小道具が、なぜ、どのようにして、この重要な役割を果たしているのか、よく考えてみると、どうも不思議なことが多い。これらの本来のあり方を、昔話の変遷の中から探る。
目次
序章 語ることと書くこと(古代日本語と文字;無文字から文字使用の時代へ ほか)
第1章 浦島物語の諸相(浦島物語の資料;浦島物語における場 ほか)
第2章 神婚物語の発端と結末(幸運を掴む条件;古代の論理 ほか)
第3章 神婚物語の変貌(神格の下落;人間の優位 ほか)
第4章 成り上がりの完成(悪人一寸法師;成り上がり ほか)
終章 浦島太郎と一寸法師の間(神婚物語の生涯;浦島物語と一寸法師物語の変貌)
著者等紹介
浅見徹[アサミトオル]
1931年神奈川県小田原市生。京都大学、同大学院博士課程修了。岐阜大学、神戸松蔭女子学院大学教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばりぼー
20
ともに有名なおとぎ話の最後の場面で、重要な働きをする小道具ですが、開けてはならぬ玉手箱ならなぜ贈ったのか?打つための道具である小槌でなぜ背が伸びたのか?などの疑問に対して、文献にあたりながら話の元の姿を復元してくれます。現代っ子なら「時間を封じ込めた」ぐらいのことは言いそうですけどね。巻末の参考文献一覧を見れば、どれだけ多くの文献を渉猟した労作かがわかります。学生時代のテキストを探し出しての再読ですが、知的好奇心をくすぐられ、十分楽しめました。今なら真面目に勉強するんですけど…。2013/08/18
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