内容説明
文章と漫画で二度、おいしい。ネガティブゆえに愛おしい人間の業を、しみじみ描き出す。
目次
絶望感
喪失感
嫌悪感
脱力感
孤独感
焦燥感
無力感
誇大感
罪悪感
不安感
被害感
空虚感
違和感
あとがきに代えて―対談 春日武彦×吉野朔実
著者等紹介
春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年、京都生まれ。日本医科大学卒。産婦人科医を経て精神科医となる。東京都精神保健福祉センター、都立松沢病院勤務などを経て、現在、成仁病院顧問
吉野朔実[ヨシノサクミ]
1959年、大阪生まれ。漫画家。80年、「ぶーけ」でデビュー。現在、「IKKI」にて『Period』を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ruki5894
20
いつも自分の気持ちや感情をうまく表現出来ないので、それは語彙が少ないからだと思い、本をたくさん読むようにしています。でもいくら読んでもやっぱり言い表せない。周りには的確に、今の状況を言う奴とかがいて、そいつは明らかに私より本を読んでいない。そんな私は、言語化出来ない『嫌悪感』やら『違和感』やらを抱えて『罪悪感』に苛まれるわけで…。春日先生の本を読むと、少し心が軽くなります。はい。2015/01/20
したっぱ店員
20
吉野朔実ファンなのでつい手に取ってしまった。春日先生の文章は固いけれど、例が豊富なのでわりと興味深く読めてよかった。先生のお母さんの例がどれも面白い。とはいえ、私的にはいっぱいいっぱいだったので、吉野マンガでほっと息つぎしてなんとか読破。2011/07/21
空猫
19
Dr.春日の本を久しぶりに。『顔面考』に衝撃を受けその後しばらく続けて読んでいたけれど。エッセイも数冊読むとマンネリ感が出てくるのでどなたかとのコラボになっていくのはセオリーだね。今回は絶望、喪失、嫌悪などの負の感情がテーマ。吉野朔美さんの漫画が花を添えている。産婦人科医から精神科医になったという経歴とハンパない読書量、そしていつも通り、目を見ながら話されているはずが背中まで見られているような、何と言うか斜め上からの視点(?)がやはり好きだ。2018/09/07
澤水月
19
絶望感、不安感などネガティブ3文字⚪︎⚪︎感をお題に春日流の連想記述で考察。普段だと必ず混ぜ込まれる文学引用がほぼなく、精神科、訪問看護、産科での臨床経験と少年期記憶。必ずしもいつものように明晰だがシニカル…でなく割に鬱々してる…書かれていた08.5〜09.9何かあったのかな。左手を中に右手は外から子宮挟んで押しても収縮せず酸素不足であくびしながら産婦が出血多量死しかけた話、精神科保護房経験で入ったらいきなりノブ無しのっぺら扉にビビる話は共に想像だけでも悲鳴あげたく。お産は奇跡だ。朔実さん漫画がかなり救い2014/10/22
紫羊
10
「精神のけもの道」も面白かったが、この作品でも、著者の語る子ども時代の奇妙な心の引っかかりの数々のどれもこれもが、不思議なリアリティを持って自分の中にストンと落ちた。吉野朔美さんの漫画もテーマの核心を上手く表現していて印象深い。巻末の対談も、いろいろ考えさせられる内容だった。2013/09/01