内容説明
昭和30年代、貸本屋にしか置かれない小説があった。昭和のウラ大衆文学の爆笑ワールド!無責任な奇想、ちゃちな人間描写、知られざる傑作を詳細解説。
目次
第1章 ミステリ・SF(完全無欠のスーパーヒーロー―城戸礼;限界に挑む奇想のデパート―宮本幹也;日本初のグルメハードボイルド―九鬼紫郎 ほか)
第2章 時代小説(「ひばり映画」と歌舞伎再話―瀬戸口寅雄;ヘイケガニたちのロカビリーパーティ―井上孝;苦悩する「若さま」―高樹純之(水野泰治) ほか)
第3章 現代小説(おてんば娘と冗舌居士―若山三郎;「破格」の面白さ―三橋一夫;老残の読物作家―竹森一男 ほか)
著者等紹介
末永昭二[スエナガショウジ]
大衆小説研究家。1964年福岡県生まれ。立命館大学文学部卒業。貸本文化研究会、『新青年』研究会、参土会、日本出版学会など、いくつかの研究団体に所属。東京都府中市在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saku
2
貸本漫画があった一方で貸本小説もあった。昭和30年代の蔵書をもつだけの収入がなかった読者層を想定していたらしい。著者も多作にならざるを得なかったせいか、ストーリーも結構いい加減だったりするのだけれど、なんだか味があって面白い。2011/04/10
三柴ゆよし
2
貸本小説というものがあった。貸本漫画なら知っている。コアなファンも多いと聞く。けれど小説とは。そんな軽い気持ちでふと手にした本書。一読、驚愕した。ベラボーにおもしろいのである。「楽しんで、あとは忘れてぐっすり眠ってもらう」がモットーの徹底したエンタメ路線。薄利多売もいいとこだから、作者はとにかく数をかせぐ。現代の良くも悪くも洗練された小説を読み慣れている我々にしてみれば、一見メチャクチャな物語やテキトーな人物描写は意外なほど新鮮に映る。本ジャンルのより詳細な研究を待つ。爆笑必至の名著である。2010/08/14
midnightbluesky
1
多分10年以上ぶりに読んだ。 2024/05/24
とりもり
1
貸本屋なんてもう何十年も見かけないけど、昭和30年台前半には貸本小説というものがあった。粗製濫造された荒唐無稽なストーリー(「変化たぬき大名」の破壊力や、「壇之浦0番地」の「ワラシベ党」のインパクトとかすごすぎ…)、とにかく早く大量に出版することを優先したが故の校正ミスなど、時代の空気感が感じられて良かった。さしづめ今なら書き下ろしの文庫本小説あたりがイメージ近いかな。作品の質は桁違いだけど(笑)。童門冬二はじめ、有名作家が一時期貸本小説を書いていたことを含め、もう少し研究して欲しいテーマかと。★★★★☆2023/09/03
ピコ
1
借り読。ここで紹介されている本を読む事はあまり無いような気もするが、なかなか興味深かった。『純情青ひげ娘』というタイトルが脳から離れない…。2014/03/04