悪の知性

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784757140899
  • NDC分類 954
  • Cコード C0010

内容説明

本書はジャン・ボードリヤール最後の思想書でありながら、そこから彼自身の思想圏の意想外の起伏や未知の地平、あるいはニーチェ、三島、ボルヘスからスローターダイクまで、「悪の知性」の実践者たちの言説につながる視座が見とおせる、ボードリヤール自身による魅惑的な現代思想ガイドブックになっている。

目次

インテグラルな現実
現実の果てに
奥深い幻想のなかの世界
いちばん安易な解決
記号の殺戮
ネットワークの精神的ディアスポラ
われわれはみな不可知論者だ
イメージに対する暴力
ひとりよがりの…現代アート
ヴァーチャル性と出来事性
悪と不幸
悪の知性
誰がために政治の鐘はなる?
金閣の破壊
二重性のバックファイヤー
断層線
パラレルな世界
アナムネーシス

著者等紹介

ボードリヤール,ジャン[ボードリヤール,ジャン][Baudrillard,Jean]
1929年ランス(フランス)生まれ。フランス現代思想の代表者のひとり、元パリ大学ナンテール校教授(社会学)。1960年代末から消費社会の記号論的分析で世界的に注目され、その後はオリジナルとコピーの対立を超えるシミュラークル概念を導入し、現実の消滅とシミュレーションの時代の到来を先駆的に論じて、広範な層に大きな影響をあたえた。9・11以降は、出来事の事後的解釈に終始する思想をラディカルに批判し、「出来事としての思想」の提案者となった。写真家、美術批評家としても知られる。数回来日。2007年没

塚原史[ツカハラフミ]
1949年東京生まれ。文学修士(京都大学)。現在、早稲田大学法学部教授。専攻は、現代思想、表象文化論(ダダ・シュルレアリスム研究)

久保昭博[クボアキヒロ]
1973年千葉生まれ。文学博士(パリ第3大学)。現在、京都大学人文科学研究所助教。専攻は、フランス文学、文学理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

54
メディアの執拗な取材によってダイアナ王妃が事故死したこと、9.11事件など当時のことを思い出しながら読了。インターネットによる多数の繋がりを持ち、即時的な返答が可になったことが逆にアイデンティティの拡散へと繋がったということにはSNSに付き纏う一種の面倒臭さの実感と重なりました。ダイアナ王妃の事件での過激な娯楽と化したメディアへの言及はSTAP細胞の報道加熱による理研に起きたことと似ていてその反省を日本でも生かせなかったことは残念です。だからこそ、二度と報道を過激な娯楽としないようにしなければならない。2014/09/19

磁石

14
表題の「悪の知性」のみならず、仮想と現実・インターネット・権力についての論考も書かれている。初見さんは突き放してどんどん先に進んでしまうような難しい単語と断定の嵐だけど、引っかかるものはあった。権力は悪の管理、誰もが権力を捨てたがっている。不幸と悪とは違う、悪は人類の歴史そのもの。世界の一部でしかない意識が観察者を気取るのは愚の骨頂で、インターネットは広がりはあっても発展はなく自己応答機器にしかなりえない。監視社会の目的はゼロ死者という誇大妄想の産物、などなど。険しい洞察が目白押し。2014/09/12

hikarunoir

7
「不可能な交換」とテーマはかなり連続。監修は拒否しても、自身の理論に基づいたあの映画はやはりお気に入りと見え、随所で言及している。2017/06/05

大ふへん者

7
ボードリヤールの問題提起は理解できるが、自分としてはそこまで危機意識が持てない個所もちらほら。それでも時折心象にぐさっと突き刺さる表現がある。「未来の人間は、自らのモデルにはじめから飲みこまれているだろうから、自分自身の他者性に出会う危険すらないだろう。」ウォシャウスキー兄弟の「マトリックス」に影響を与えたのも納得。過剰な現実は逆説的に現実の在庫切れを及ぼす、ってMobb Deepは言ってたなぁ。(Shook Ones PartⅡ)2013/10/13

shinosuke

1
恥ずかしながらボードリヤール初挑戦。もう一回読まないとちょっと感想は書けないけど、大変興味深い内容でした。今の格差社会とかトランプ大統領とか見たらどう思うのだろうか。2016/11/27

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