内容説明
「何よりもダメな日本」と「世界に冠たる日本」。両極の間で揺れる近代日本の社会科学。その背後仮説を鋭くえぐり出す。
目次
第1章 歴史としての社会科学
第2章 近代日本の社会科学―概観
第3章 二重の過酷―マルクス主義と日本資本主義における過去の現在性
第4章 『資本論』を通して考える―宇野弘蔵とマルクス経済学
第5章 学派の終わり?―日本資本主義に直面した宇野派
第6章 社会科学と倫理―市民社会派マルクス主義
第7章 戦後日本における民主主義の構想―政治思想家としての丸山眞男
結論
著者等紹介
バーシェイ,アンドリュー・E.[バーシェイ,アンドリューE.][Barshay,Andrew E.]
カリフォルニア大学バークレイ校教授。1953年生まれ。同大学にて博士号取得(歴史学)。ウィスコンシン大学、カリフォルニア大学バークレイ校準教授、同日本研究センター所長を経て現職
山田鋭夫[ヤマダトシオ]
九州産業大学経済学部教授。1942年生まれ。名古屋大学大学院経済学研究科博士課程中退。経済学博士。大阪市立大学教授、名古屋大学教授などをへて2005年より現職。理論経済学および経済学史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
7
近代社会とは再帰的な社会で、社会科学は社会の自分語りの一つ。それだけじゃなくて、その語りでもって社会を変えてしまうこともある。悪いことに、社会科学もまた社会の外側には立てないから、そのあり方は政治経済構造と無縁じゃない。時々、振り返って自己検査してみる必要がある。日本の社会科学は後発国という条件下で、「普遍的」モデルと土着の特殊性を接合するという役割を負った。近代化はしなければならん。だけど、同時に日本でありつづけることができるのか。意外なことに、原型となったのは講座派による日本型資本主義分析だったらしい2018/11/09