感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
戦前昭和から戦後にかけ、榎本健一と日本の喜劇界を二分した一方の巨頭である古川ロッパの自伝「喜劇三十年」と終戦直後のエッセイ集「苦笑風呂」の二本立て。ロッパは元々文筆業出身なので、やはり文章が上手い。「喜劇三十年」は芸能文化人隠し芸集団である「ナヤマシ会」や、浅草の喜劇集団「笑の王国」といった、先鋭的な笑いを追及していた頃の話が面白い。浅草は戦前の演劇文化の中心地であり、観客と舞台との一体感は、他にはないものだったらしい。「苦笑風呂」は、進駐軍の映画マニアとのサイレント映画談義のオタ丸出しの様子が楽しい2018/04/25