感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
明治時代後期、日本領土ながらも事実上放置されていた千島列島に渡って、国家の援助も無い中で独自に開拓を行おうとした郡司成忠という人物について、千島開拓を中心に書かれた伝記。書かれたのが戦時中なので、「北方へ躍進する皇国臣民の先駆け!」というメッセージが全編に横溢している。ロシアや英米の密猟船が横行する状況を憂い、日本の領土を日本人の手で守るという構想を民間主導で行おうとしたというところが時代なのだろう。資金不足で準備も充分ではない中、極寒の地での苦闘(第一次開拓隊は病気で死者続出)が生々しい。2018/05/26