内容説明
ルルスの“解読の術”、キルヒャーの“大いなる術”、ライプニッツの“数学的知の体系”、シュレーゲルの“官能の論理学”、ノヴァーリスの“精神の詩的建築学”、マラルメの“宇宙的超‐書物”を視野に入れ、文学上のシンボリズムと論理学上のシンボリック・ロジックの双方に共通する史的伝統を検討し、世界をカード化する現代のコンピュータ言語を理念的に準備した、結合術とロマン派以降の近代文学の多様な関係を析出する。
目次
結合術の伝統
初期ロマン派の抱いたライプニッツ・イメージに表われたる結合術、記号論、および百科全書理論
概念計算と発明術
記号論
「百科全書化計算」
C.F.ヒンデンブルクの結合術
論理主義、批判哲学、弁証法的論理学
現にある世界とありうる世界
結合術の機知
結合術的小説の理論〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
iwri
5
本書は本質的にはノヴァーリス論である。記号論理学とあるが、数理論理学ではなく、基本的にはライプニッツの結合術を指している。現在では、フライベルク鉱山学校時代の断章やノートが整理され、ノヴァーリスと数学・自然科学との関わりはかなり明確になっている。本書では、結合術の観点から、ノヴァーリスの文学・思想、何より記号論的なシステマティックな結合術としての数学との関わりが論じられる。その他の点では、ベンヤミン以降のノヴァーリス理解とさほど外れていないが、結合術に焦点を当て、新たなノヴァーリス像を提出している。2011/11/20
ルートビッチ先輩
3
ルルスに始まりライプニッツで大成される結合術(アルス・コンビナトリア)がどのようなものであったか、という紹介から始まり、その思想史における位置を明らかにし、その特にノヴァーリスに対する影響を論証する。いわゆる「ロマンティック」という言葉で思い浮かべられるようなロマン主義とは異なるロマン主義像を提示する。ただ、有限個のものからの創造の契機を、ライプニッツを基にするため、絶対の神、心理に対する無知の面に求めているのは、指摘されるロマン主義における修辞学の可能性を抑制することに繋がってしまうだろう。2015/09/11
冬衛
0
再読2016/08/15