内容説明
ルネサンスからバロックにかけて一大流行を博した、エンブレム・インプレーサ・ヒエログリフという寓意的=象徴的表象を、汎ヨーロッパ的文学運動である「綺想主義」との連関で詳説し、バロック的感性の精髄を開示したプラーツ畢竟の名著。
目次
第1章 エンブレム・インプレーサ・エピグラム・綺想
第2章 騎士の哲学
第3章 俗愛と聖愛
第4章 快なるものと益なるもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
グーテンベルク革命は、印刷文字の等間隔の配列によって物語を直線状の時間に従わせ、過去と現在を因果関係で結ぶ世界を作る一方、文字の読解とは異なる象徴的、寓意的読解を誘う図像を掲載して17世紀の流行を作ったという。エンブレム(記章)、インプレーサ(標語付図案)のような図像の読みは暗号解読さながら、記号同士の類似性、その布置(コンステレーション)、さらに反対物の一致のようなコードによって解読されうる。犇めき合う記号同士が作るこの世界を著者は「綺想」と呼び、多数の図版を列挙しながら、その複雑な解読を読者にも促す。2019/09/11