内容説明
バフチン、ベンヤミン、フロイトをはじめとするテクストを分析し、身体、心理、性差、他者、人種、家庭、都市といった領域における、境界の形成とその侵犯との相互作用をあばき、「カーニヴァレスク」の再生と近代の主体性神話を脱構築する。
目次
第1章 祭と豚、そして作者の権威
第2章 グロテスク・ボディ、そしてスミスフィールドの詩神―一八世紀における作者の権威
第3章 都会―下水、眼差し、そして汚穢と接触
第4章 階段の下―女中、そして家族の物語
第5章 ブルジョワのヒステリー、そしてカーニヴァレスク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルートビッチ先輩
2
自らのアイデンティティを堅固にするために他者を排除し、それを下なるものとして周縁に追いやるブルジョワ的営みに攻撃をしかける。そういった営みは単に他者を排除するのではなく、それへの欲望を孕んでもいる。そう見るときにバフチンの議論が生きてくる。つまり、カーニヴァルに対する讃仰を口にするのではなく、肉体や都市において混交性をあらわにするグロテスクな境界侵犯という仲介物をカーニヴァレスクと言うことだ。祭を混交物から純粋な雑種として安全弁化するブルジョワ、そしてベン・ジョンソンらによる「作者の権威」という2015/03/18