感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
46
「当のプラーツは…そのほかのどんなオブジェ・ダールよりも生気なく、蒼白に、小さく、黙念と坐っているのである…プラーツには別れたイギリス人の妻と娘がいるが、友人への書簡の中で彼は、イルカと小さいアモルのついたアンピール風の書きもの机ほどにいかなる人間をも愛することができない自分を嘆いている…本質的に倒錯した世界の、おそらくは他者と隔絶した想像力の世界の住人(若桑みどり)」「われわれは、この借りものの生ある屍体に飽き飽きしうんざりしてしまう。蝋で造形された人間の形姿こそもっとも甘美なメロドラマ(オルテガ)」2017/03/15
傘緑
31
「いつの日か、誰かしらが、対象をぎっしりとつめこんだこれらの作品、すなわち、イメージや語彙が豊富すぎる書物のあれこれについて、あまりにもびっしりと事物を盛りこんだ数多くの絵画について、イシサンゴの群れのようにごちゃごちゃとこみいった彫像について、過剰に装飾された建築について、そして心をかき乱す調べに満ち満ちた音楽について、書くべくその身を捧げなければならないだろう…眩暈を惹き起こし、嘔吐をもよおさせる作品…芸術家は、未開人のように自ら集めた宝を積み上げ、吝嗇漢や幼い子供のようにその宝を眺めて楽しんでいる」2017/03/15
roughfractus02
5
エンブレムに配置される諸要素は、類似による連想が一つのテーマに収斂するように、シンプルな模様や素材を重視した細工で調和を目指すものもあれば、連想が奔放さを増して素材を無視して敷き詰められ形も歪められるものもある。美術史的に区別されるマニエリスムとバロックを著者が同様に扱うのは、調和を崩す後者の傾向によってだ。エンブレムが寓意を生み出すのは、その過剰さが生み出す葛藤が、視覚に供されるその広がり=庭の目指す意味を超えて新たな意味を生み出すからだ。不調和と葛藤が生み出すのは、理性ではなく、感性(官能)である。2019/09/09
呑芙庵
2
面白い 訳者あとがき的なものは多少不快 2018/11/06
保山ひャン
1
マリオ・プラーツの、「マニエリスム、エンブレム、バロック」について書いた文章を集めた1冊。 第1部 二人の先駆者 第2部 マニエリスム研究 第3部 ペトラルカからエンブレムへ 第4部 17世紀の芸術 第5部 バロックの宇宙 博覧強記とはこのこと。知らないことばかりだけど、難しくはなく、すらすらと読み進めることができた。2014/07/16
