出版社内容情報
フェデリコ・ズッカリとネッビアの《受難伝》に、グイド・レーニとチーゴリのパオリーナ礼拝堂の祭壇画に、ピエトロ・ダ・コルトーナ─の激情と法悦の絵画に、アンドレア・サッキの古典主義的で静謐な絵画に、アンドレア・ポッツォの壮大な天井画から溢れでる歓喜と栄光に、これらローマで華開くバロック美術を源流から盛期へとたどり、多面体をなすバロック美術の尽きせぬ魅力と精華を解きあかす!
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ローマはバロックに満ちている。プリズムのような多面体をなすローマのバロック美術をパトロネージしたバルベリーニ家は数々の若い芸術家を世に送りだした。そこで才能を開花させたのは、ベルニーニ、コルトーナをはじめ、緻密な古典研究に裏打ちされた歴史画のニコラ・プッサン、白亜の古代建築を舞台のように配した風景画を描いたクロード・ロラン、天の栄光を現出させるクーポラ装飾を描いたランフランコなどがいる。一方、ボルゲーゼ美術館では、映画のワンシーンのようにリアルなカラヴァッジョの祭壇画、技巧と洗練のカヴァリエーレ・ダルピーノ、優美なるグイド・レーニに加え、古代彫刻に息を吹きこんだようなドメニキーノの造形とグェルチーノの滲むような陰翳と抒情が見られる。加えてローマには、古典建築から多数の人物が溢れでて躍動するピエトロ・ダ・コルトーナやアンドレア・ポッツォの天井画、身振りも色彩も抑制された静謐なアンドレア・サッキの天井画など、同時代の同じ文化的環境から光を輝かせたバロック美術がある。
一六三〇年前後に輪郭がはっきりしてくる盛期バロック美術は、いくつもの潮流が合流してできた大河のようであり、その源流をさぐり、支流をたしかめ、蛇行したり分岐したりしながら展開する流れの一端を追いかけた。ローマ以外の別の絵画伝統をとりこみ、造形言語を刷新し続けた一七世紀のローマの美術界は、複数の画派が入れかわり立ちかわり活躍する豊饒な世界であった。この時代のいくつかの道標をつなぎあわせて一本の道筋を描き、バロック美術の尽きせぬ魅力を解きあかすために、絵画芸術の展開を語り提案したのが本書である。ぜひ御覧くださいますよう!
【目次】
プロローグ 多面体としてのバロック
第1章 フェデリコ・ズッカリとチェーザレ・ネッビア──オラトリオ・デル・ゴンファローネの《受難伝》
第2章 グイド・レーニとルドヴィコ・チーゴリ──サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂パオリーナ礼拝堂
第3章 ピエトロ・ダ・コルトーナ──《死にゆく聖アクレシウス》と法悦の絵画
第4章 アンドレア・サッキ──《マルカントニオ・パスクァリーニの肖像》の古典主義
第5章 アンドレア・ポッツォ──サンティニャーツィオ聖堂身廊天井画における歓喜と栄光
エピローグ 多面体としてのバロック
註
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