内容説明
レオナルド・ダ・ヴィンチの宇宙照応の美しく微笑む女性の姿に、ティツィアーノの描く聖俗二態の誘うかのような女性の姿に、カラヴァッジョの描く虚ろでマネキンのような女性の姿に、アルテミジアの描く表情豊かに裸体を誇示する女性の姿に、そしてカッリエーラの描く彩り細やかな女性の姿に、ルネサンスからバロック、そして18世紀ヴェネツィアへ、これらの芸術家が創造した華麗なる女性表象を解剖し、それらの創造の秘跡を探検する!
目次
ジネヴラの眼差し、モナ・リザの微笑み―レオナルド・ダ・ヴィンチの女性肖像
ティツィアーノ『聖愛と俗愛』における観者、結婚、花嫁のセクシュアリティ
カラヴァッジョの「無関心」、アルテミジアの「不愉快」―ローマの初期バロックにおける女性像と男性像
ロザルバ・カッリエーラ―一八世紀ヴェネツィアのオルナメント
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
359
ダ・ヴィンチは生涯に女性の肖像画を4点残している。最初が(おそらくはまだヴェロッキオの工房にいた頃)「ジネヴラ・デ・ベンチ」、次が「白貂を抱く貴婦人」、3点目が「ベル・フェロニエール」、そして最後が未完の「モナリザ」である。彼はその構図において革新的であった。すなわち、それ以前の女性の肖像は真横からのプロフィール像ばかりであった。それは、もっぱら(政略)結婚のためのものだったからにほかならない(したがって男性像はこに限りではない)。ダ・ヴィンチはそれを純粋な女性の肖像画として描いた。⇒2022/12/04