内容説明
アンデルセンもニルスもムーミンもここから生まれた!金髪のお姫さま、妖精トロール、バイキング…深い森やみずうみ、フィヨルドなど美しい自然に囲まれた北欧で生まれたおとぎ話と挿絵画家たちを大特集。
目次
第1章 北欧の神話とおとぎ話(北欧叙事詩の幻想アート;北欧の神々と英雄;アクセリ・ガレン=カレラの『カレワラ』;シベリウスと北欧のおとぎ話;カイ・ニールセンの『太陽の東、月の西』 ほか)
第2章 北欧の挿絵画家たち(北欧の世紀末とモダン・アート;カール・ラーション;テオドール・セヴェリン・キッテルセン;エルサ・ベスコフ;ヨン・バウエル ほか)
著者等紹介
海野弘[ウンノヒロシ]
1939年東京都生まれ。評論家、作家。早稲田大学ロシア文学科卒業。平凡社に勤務。『太陽』編集長を経て、独立。美術、都市論、文学、映画、音楽、ファッションなど幅広い分野で執筆を行う。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
141
とおいくにのおとぎ話白樺の美しい森にひそむたくさんのカレワラ。星、月、太陽は氷のような大気に溶けて飛んでいってしまったの。月をみつめる乙女の蜂蜜いろの髪闇に浮かぶステンドグラス白熊の背には美しい娘、配置はなぜか浮世絵のよう。かなしみを染めた夜空に散り散りに浮かぶ星、苺やきのこの帽子をかぶる森のちいさな妖精さんたち。少女と子鹿と竹久夢二。魅惑的なおはなしと挿絵にうっとりと酔いしれる。寒いところの絵はなんだかあたたかいような気持ちになります。2020/11/15
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
102
★★★★図書館にこのシリーズがゴッソリ入りまして…もう、ため息の嵐。冬休みで帰省中の娘が、涙目で堪能しておりまする。いつの時代も乙女は、ただひたすらに美しいモノが大好き。今花の盛りの娘にとっても、ブリザードフラワーだと言い張る私にとっても(笑)美しさは正義。正しさを主張して良いのは、芸術だけなのだと心から思う年の瀬の一冊。シリーズ読破決意2015/12/28
ままこ
97
モダンで美しい装丁にうっとり。繊細で幻想的な北欧の挿絵を解説と共にオールカラーでじっくり楽しめる。クルクル巻毛の赤ずきん可愛い。〈浮世絵〉が〈北欧〉を刺激し、〈北欧〉が日本の大正モダニズムを刺激。双方が影響し合ってるのが見て取れる。サラッと描かれた鳥獣戯画みたいな絵も良いな。裏表紙絵は竹久夢二がモロ影響されたみたいでタッチがそっくり。カイ・ニールセン描く天使にパタリロに似てるのがいる(笑)エルサ・ペズコフの絵はファンタスティックで愛らしく好み。北欧独自の文化に基づいた世界観が滲み出る麗しい挿絵集。2021/01/17
かりさ
87
北欧の幻想的で儚げな世界がここに夢のように広がっていて酔いしれました。中でも大好きなカイ・ニールセンの『12人の踊る姫君』一場面の装丁の繊細な美しさといったら!この煌びやかなドレスを纏った姫たちが、森の中をさ迷う場面の非現実な不穏さはたまりません。他にもカール・ラーション、エルサ・ベスコフ、ヨン・バウエル、グスタフ・テングレン……まさに北欧の絵本のイメージ通りの世界に和みます。2016/05/20
アナーキー靴下
75
北欧神話が昔から好きで、何冊も読んだのに解説は流し読みで、何となくヴァイキングっぽい力強い世界観、という理解でしかなかった。一方で北欧にはアンデルセンのような、幻想的で仄暗いおとぎ話のイメージもある。さらにはインテリアの北欧風というと、温かみのあるモダンな雰囲気を想像する。それぞれ好きなのに、今まではまったく繋がっていなかった。それが本書を読み、北欧神話のゲルマン化、アーツ・アンド・クラフツと、流れを持った北欧のイメージを持つことができた。解説が良いのももちろん、収録された挿絵どれも美しくて素晴らしい。2023/05/19