内容説明
独立以来戦火の止むときなく,底なし沼にはまったアンゴラ内戦。豊かな資源があればこそ、四半世紀を越える消耗戦が展開するという逆説の世界。この「忘れ去られた戦争」は冷戦後の紛争対応に苦悩する国際社会そして平和創造外交を主張する日本にとって、いまや回避できない踏み絵として浮上する。
目次
序章 アンゴラ研究の視座
第1章 アンゴラ独立前史
第2章 アンゴラ内戦とその国際化
第3章 国際化と外部アクターの関与
第4章 MPLA政権下の社会主義体制
第5章 冷戦の終結と内戦のアンゴラ化
第6章 休戦交渉過程と民主化
第7章 アンゴラの民主化と総選挙
第8章 統一国民和解政府の樹立とその課題
第9章 アンゴラの国家建設の課題と展望
第10章 一九九〇年代のアフリカの政治・経済潮流
第11章 日本とアンゴラ
終章 殺戮はいつ終わるのか
著者等紹介
青木一能[アオキカズヨシ]
1946年生まれ。1976年慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程(政治学専攻)単位取得。現在日本大学国際関係学部教授・博士(国際関係)。著書に『冷戦後の国際社会とアフリカ』(共著)アジア経済研究所。『南部アフリカ民主化後の課題』(共著)アジア経済研究所。『国際政治の理論』(共編著)東海大学出版会。『変貌する現代アフリカ』(訳書)芦書房。その他多数
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
旧ポルトガル植民地であった、アフリカ南西部の国アンゴラが植民地化の歴史から、独立勢力の分裂と抗争を経た突然の独立を経て、凄惨な内戦へと突入する過程を、アンゴラ内部の部族主義とアンゴラ外部の冷戦や南アフリカ情勢が絡み合う複雑な要因を紐解きながら解説。誰が悪いのか?という犯人探しをするのも虚しい、欲と憎しみという人の性が冷静な分析の向こうに見せつけられる。本著の内容は1990年までで、現在アンゴラは産油国として経済成長著しく、経済不振のかつての宗主国ポルトガルから出稼ぎも引きつけているのも隔世の感。2017/09/06
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